国土交通省高知河川国道事務所は、直轄高知海岸の南国工区で既設人工リーフを離岸堤に改良する計画を進めている。水面下にある人工リーフを改良するのは全国で初めて。これまでの実験で既存リーフの岸側に30d型の消波ブロックを設置し、背後法面を補強する構造検討案をまとめており、2019年度以降、具体化に向けた技術検討を進める方針だ。
南国工区の延長は3538b。最も西側に人工リーフを整備し、そこから東沢放水路沖まで21基の離岸堤を配置している。しかし人工リーフや最も西側にある52号離岸堤周辺で、高波浪時などの局所的な侵食により砂浜が形成されず、近年も堤防倒壊被害が発生している。高波浪時に人工リーフの背後で水位が上昇し、開口部で沖向きの局所的な流れが発生、沖合に土砂が流出し、結果として砂浜の侵食が進んでいることが原因と見られている。
そのため、同事務所では全体計画の見直しに着手、人工リーフを離岸堤化し、52号離岸堤を突堤化する整備方針を策定した。これにより土砂の流出を抑制し、海浜を安定させ、越波や堤防倒壊を防止する効果が期待されている。人工リーフの改良に向けては、17年度に開いた保全技術検討委員会で、適用性、施工性、経済性などの概略検討を行い、消波ブロックによる嵩上げ(透過型離岸堤)を設定した。
一方で、課題として消波ブロックの配置位置の基本断面形状の設定や施設の安全性能の照査が挙げられたため、水理模型実験を行い詳細な構造を検討した。その結果、ブロック配置については、岸側に2層積み、天端3個の30dブロックを優位とした。加えて、既設人工リーフの捨石部法面が被災する恐れがあるため、背後の補強を必要とした。また基本断面形状を天端高T.P.3・16b(既設人工リーフ+4・4b)、天端高12・4b(ブロック4個)、法勾配1:1:3としている。
人工リーフへの改良は、過去に鳥取県米子市沖の皆生海岸で施工実績があるが、水面下にある既存人工リーフを改良するのは南国工区が全国初の事例になるという。
提供:建通新聞社