建設新聞社
2019/01/25
【東北・宮城】鳴瀬川総合開発CIMデータの構築支援業務を委託
東北整備局鳴瀬川総合開発工事事務所は、宮城県加美町で筒砂子ダム建設を伴う鳴瀬川総合開発事業に係る「CIMモデル構築支援作業」業務について、企画競争方式によって日本建設情報総合センターに委託した。現在の調査設計段階から、今後の施工および管理まで一貫して使用できるCIMモデルを作成する業務で、直轄ダム事業として全国的にもモデルケースとなる取り組みだ。
CIMは、対象構造物の属性情報を盛り込んだ3次元モデルを建設工程に採り入れる取り組みで、調査設計段階から施工および完成後の管理まで一貫して用いることで効率的な生産および管理体制に寄与する。これまで直轄ダム事業では、堤体盛り立ての管理など施工段階での導入や、岩手県の胆沢ダムにおける計測や管理への採用など、部分的に展開されてきた。
本体着工前の基本計画策定段階からCIMを導入する今回のケースは、今後の直轄ダム事業におけるプロトタイプとして注目される。今回の業務は、これまでに発注して蓄積している本体設計データや、地質調査の解析データ、測量による地形データなど、各コンサルタント会社が作成し、それぞれ拡張子が異なり互換性に乏しい3次元データについて、一つのソフトウェアで使用できるように統合するもの。これにより例えば、付替道路まで含めた事業全体の土量配分を効果的に検討できるといった施工段階での効率化も期待される。
なお鳴瀬川総合開発は、加美町漆沢筒砂子の鳴瀬川支川筒砂子川に多目的の筒砂子ダムを新設し、近接する県管理の漆沢ダムを治水専用化する事業。現時点で筒砂子ダムの概要は、台形CSG型式、堤高107・5b、堤頂長358b、堤体積187万立方b、総貯水量4560万立方bの規模。
本年度の主な業務は、基本計画の策定に向けた検討を建設技術研究所に発注しているほか、堤体および転流工トンネル概略設計を日本工営、材料採取計画を含むダムサイト地質総合解析を日本工営、付替道路予備設計をオリエンタルコンサルタンツにそれぞれ委託している。環境アセスメントは準備書段階まで進んでおり、19年度にも評価書を審議した後、基本計画告示となる。
提供:建設新聞社