京都市交通局は22日、市バス・地下鉄事業経営ビジョンの答申案をまとめ、同ビジョン検討委員会に示した。
同ビジョンは今後10年間の経営の方向性を示すもの。答申案では冒頭部分で、市バス事業は計画より3年前倒しで経営健全化団体から脱却し、一般会計からの任意の財政支援に頼らない自立経営を実現、地下鉄事業は1日5万人増客の目標を2年前倒しで達成し、計画より1年前倒しで経営健全化団体から脱却するなど、経営は大きく改善したとする一方、これからの10年の経営環境は極めて厳しいと指摘した。
市バス事業は、530両の車両が更新時期を迎え、車両・設備の更新に200億円を超える多額の費用を要することに加え、バス運転士や整備士の担い手不足の影響で委託料の大幅な増加や管理の受委託に受託事業者や受託規模の縮小撤退など、財政面と事業の担い手の両面で、経営の見通しは極めて厳しいと分析。
地下鉄事業は、いまだ全国一厳しい経営状況にある中、車両・設備の更新に700億円を超える多額の費用を要するほか、一般会計からの経営健全化対策出資金の繰入れが終了することから、累積資金不足は大幅に増加する見通し。
今後10年間の運営で取組を推進するにあたり特に考慮すべき事項を示した。
老朽化が進む市バス・地下鉄の車両・設備は、安全性を確保し、将来にわたり良好に維持していくため、適切な保守点検と計画的な更新に取り組む必要がある。また、長寿命化のための対策を実施するとともに、安全性向上につながる新たな設備整備も検討すべきとした。
地下鉄烏丸線への可動式ホーム柵は、全駅設置を目指し、自動列車運転装置を搭載した新型車両の導入など、引き続き取組を推進することが必要とした。
バス待ち環境の整備は、引き続き現行の設備の着実な更新やバスの駅など民間と連携した上屋整備をはじめとして、快適なバス環境の整備にしっかり取り組むべきとした。
経営基盤の強化として、運賃収入以外で、保有資産の有効活用等により、全体で収益を上げることができないか引き続き研究していく必要があるとした。
市バスの混雑対策では、前乗り後降り方式の導入のほか、同じ交通局が運営する地下鉄への利用促進を図ることなどを挙げた。
設備の更新をはじめとした投資については、安全に最大限留意しつつ、後年度の過度な負担とならないよう、その総額を計画的に管理していくことが重要とし、また設備更新の集中による負担の平準化には、これまでの手法にとらわれず、リースの活用の可能性も検討すべきとした。