東京都都市整備局は、築地市場の移転跡地を活用した「築地まちづくり方針」の素案をまとめた。コア施設として展示機能を備えた国際会議場や、都民に開かれた舞台ともなる大規模集客・交流施設を導入する一方、分譲住宅は抑制する考えを提示。土地は長期の定期借地により民間事業者に貸し付けることとし、約23fに及ぶ区域を大きく4段階に分けて整備する。再開発の前段階として、船着き場周辺の「おもてなしエリア」を先行整備することとし、次に環状第2号線の南西側で浜離宮恩賜庭園に面する「おもてなしゾーン」の開発を始める。事業者募集に関しては、段階(ゾーン)ごとに実施するのか、一括するのかなど、方式や時期を含めて検討を進め、早ければ2020年に公募手続きを始める。2040年代にまちづくりを完了させる方針だ。
再開発に当たり、都市基盤整備については、都心部との連携を強化する地下鉄など基幹交通インフラの整備を具体化する他、防災船着き場の平常時の利用を拡大しながら舟運ネットワークの要となるよう整備するとともに、浜離宮恩賜庭園側にも船着き場を整備する。スーパー堤防や防潮堤を活用し、水辺沿いの歩行者ネットワークを形成する。
土地利用に関しては、区域を「おもてなしゾーン」「交流促進ゾーン」「ゲートゾーン」「水辺の顔づくりゾーン」の大きく四つに区分する。
浜離宮恩賜庭園に面する、おもてなしゾーン(想定面積約4f)には、展示機能を備えた質の高い国際会議場、ボールルームを備えた上質なホテルなどを導入する。区域中央の交流促進ゾーン(約13f)では、大規模集客・交流施設、新たな東京ブランドを創出するための研究開発施設などを整備する。区域東側(築地本願寺側)のゲートゾーン(約2・4f)は、交通ターミナル機能やホテル、サービスアパートメントなどを導入。隅田川に面する水辺の顔づくりゾーンでは、アメニティー性の高い広場・緑地、レストランなどを配置する。
現段階で想定する段階的整備は、まず第0段階として、ゲートゾーンに中期(10〜20年間)の定期借地を設定し、20年ごろ事業者を公募。舟運活性化などを視野に入れ船着き場周辺の整備を実施する。次の第1段階で、おもてなしゾーンに長期(50年間以上)の定期借地を設定し、22年ごろ事業者を公募。地域全体の価値を早期に高めるよう、国際会議場やホテルの開発を進める。第2段階で区域最大の交流促進ゾーンの開発を実施する。長期の定期借地を前提に、20年代半ばに事業者を募集する。最後の第3段階で、地下鉄などのインフラ整備の進展状況なども考慮しながら、第0段階で整備したゲートゾーンに長期の定期借地を設定して事業者を公募し、同区域を再整備する。
事業者募集については、段階に行うのか一体的にするのか、時期を含めて今後検討する。
都は3月のまちづくり方針策定後、事業実施方針や事業者募集要項の作成作業を開始し、官民の役割分担や事業実施の条件などをまとめていく。並行して都市計画などの手続きや、民間事業者へのヒアリングを進める。
提供:建通新聞社