京都市は22日、延命化のため大規模改修する東北部クリーンセンターについて、予定する工事内容と事業費を明らかにした。
13年度から稼働している左京区静原の東北部クリーンセンターは、32年に稼働後20年目となり、機器等が耐用年限を迎えることから、焼却炉等の基幹的な設備を改修・整備し、最大限の延命化を図る大規模改修工事を計画している。
改修・整備工事の内容によると、プラント設備工事は「高温、高圧や酸性の排ガスなどにより劣化の進んだ機器を対象」「大規模改修工事後、少なくとも15年間は安定的に稼働するよう整備」「国交付金の最大限の活用、ライフサイクルコストを考慮し、必要最小限の経費で最大限の効果が得られるものとする」「省エネルギー、地球温暖化対策等に資するものとする」を改修・整備の基本的な考えとする。主な改修・整備機器は▽ごみを焼却する「焼却炉」▽焼却炉で発生する熱を回収する「ボイラ」▽ごみを焼却炉に投入する「ごみクレーン」▽排ガス中のばいじんを除去する「ろ過式集じん器」▽焼却灰を搬送する「灰コンベヤ」▽粗大ごみを細かく砕く破砕施設の「粗大ごみクレーン」「受入コンベヤ」。
建築及び電気設備等は「焼却炉を長期間にわたり停止させるプラント設備の大規模改修時においてしか実施することができないもの及び老朽化等に伴い安定的な運営に重大な支障が生じるおそれのあるものに限定する」を改修・整備の基本的な考えとする。主な改修・整備機器は▽排水処理設備のコンクリート製水槽▽常時冷却を要する電気室等の空調機器。
プラント設備工事は、市で工事対象機器、内容等の精査、市場価格の調査を行うとともに、焼却プラントを専門とする学識経験者等の確認・検証も受けた結果、現時点で121億円を見込む。建築及び電気設備工事等は5億円を見込み、あわせて総事業費は126億円を見込む。財源は国交付金を現時点で44億円、市債64億円、一般財源18億円(うち有料化財源4億円を充当予定)を見込む。
プラント設備は、性能発注方式による一般競争入札でプラントメーカーを選定し、当該プラントメーカーの特許等に基づく独自技術を用いて性能を確保する設計・施工がされており、今回の大規模改修工事は、焼却炉、ボイラ等の基幹的設備の改修・整備工事であり、これらに係る特許技術や当該プラントの改修に関する独自のノウハウが必要な工事であるとともに、既存機器と改修する機器を合わせて処理能力や環境性能を確保する必要があることから、プラントの施工業者の川崎重工業鰍ニ随意契約する考え。工事内容や請負金額は、市において精査するとともに、焼却プラントを専門とする学識経験者らの確認・検証も受け、適正性を確保するとしている。
建築及び電気設備等の契約は、市内業者を対象にした一般競争入札とする考え。
31年度から改修工事の設計と一部機器の製作を開始し、その後2ヵ年(32・33年度)で改修工事を実施する予定。
今後は、2月市会で31年度当初予算案及び32・33年度の債務負担の設定を審議し、議決されれば、5月市会にプラント設備工事の工事請負契約締結案を提出する考え。
東北部クリーンセンターの大規模改修工事中は、2炉ある焼却炉のうち、1炉を停止するため、処理能力が半分となるが、南部クリーンセンター第一工場、南部クリーンセンター第二工場(仮称)、北部クリーンセンターの3工場体制を維持することにより、十分なごみ処理能力を確保する
33年度は、1号炉の工事が終了していることから、南部クリーンセンター第二工場(仮称)、北部クリーンセンターと合わせて必要なごみ処理能力を確保する(なお、南部クリーンセンター第一工場は32年度末に廃止予定)。