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建設新聞社(長崎)
2019/01/08

【長崎】立場・役割の違う6団体が初の共同要望

地元の知恵と能力を結集した長崎駅周辺の再開発を
経験・実績の蓄積と技術・技能を向上

 地元の知恵と能力を結集した長崎駅周辺の再開発を―。設計や施工団体だけでなく、長崎の経済界や学識者らが一体となった長崎市への要望活動が昨年末(12月26日)に行われた。要望したのは、長崎商工会議所、長崎県中小企業団体中央会、長崎経済同友会、国立大学法人長崎大学、(一社)長崎県建築士事務所協会長崎支部、(一社)長崎県建設業協会長崎支部の6団体。立場や役割が異なるこれだけの団体が連名で要望するのは初だという。
(鹿嶋)田上市長に要望書を手渡す山口副会頭(右)

 冒頭、長崎商工会議所の山口雅二副会頭が、長崎駅周辺の再開発事業について「長崎市の窓口として市民の期待が大きい」とした上で、計画の作成から、設計、施工、使用資材について「地元の各分野の持てる知恵と能力を結集し、市民が誇りを持てる魅力的な整備が行われることを望みます」と、田上富久長崎市長に伝えた。

 具体的な要望事項は、建設業協会長崎支部の理事として同席した谷村隆三氏が説明。ここでは事業全体の基本デザインの作成・設計について、住民や地元関係団体の意見を汲み取り、『長崎駅舎・駅前広場等デザイン検討会議』に反映させる枠組みを要望。検討会議への反映を求める内容としては▽長崎の歴史と伝統に留意▽地元大学への検討の依頼▽ユニバーサルデザイン化▽浸水対策・排水設備の整備▽緑・花の多い環境整備▽高価で過度な意匠デザインの排除―を挙げた。

 設計や施工、施工監理の発注に際しては▽地元設計事務所の活用▽案件によってプロポーザル方式を採用▽パテントや特殊な技能・機械を含まない設計▽元請・下請とも地元業者を活用した施工▽設計・施工・監理を分離発注し、調整は発注部署責任とする―ことなどを求めた。

 また、▽特殊・限定的・納期が長期となる資材・製品の不使用▽設計の製品規格以上の同等品の採用を認め、特注品を避ける▽施工監理者は製品指定を行わない―など、地元産品・生産品の優先使用を要望した。

 今回の要望は、中央の学識者や県外大手設計事務所主導による長崎駅周辺再開発事業の推進を懸念したもの。地域の特性や文化などに精通した地元機関・企業の活用により、経験・実績の蓄積と、さらなる技術・技能の向上につなげることも目指している。

 これらの要望に対し、田上市長は「デザインと価格、地元活用のせめぎあい」と苦しい胸の内を明かした。その上で、地元活用を優先課題として取り組む姿勢を示したという。


ksrogo