谷本正憲知事は4日、県庁特別会議室で年頭記者会見を開き、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて整備を進めている金沢港のクルーズターミナル、金沢城鼠多門・鼠多門橋、東京国立近代美術館工芸館に関して「いずれも来年の完成に向け、整備を加速させる」と強調したほか、加賀藩前田家の栄華を象徴する建物「二の丸御殿」の復元整備にも意欲を示した。
金沢城復元の総仕上げとも言える二の丸御殿について、谷本知事は「来月にも開催される調査検討委員会で中間とりまとめを是非お願いしたい」と述べた。一方、文化庁から史跡金沢城跡における現在の『保存管理計画』を『保存活用計画』に改定するよう求められていることを明かし、「中間とりまとめをいただけたなら、二の丸御殿を保存活用計画に盛り込むことも含め、文化庁との協議をスタートさせたい」と語った。
谷本知事は新年度当初予算に保存活用計画の策定に必要な予算を計上する意向を示すとともに、「復元の可能性が少しずつ高まりつつあると考えており、スピード感をもって取り組みたい」と力を込めた。
クルーズターミナルの賑わいを創出するため、(仮称)セミナールームや学習・体験ルームを配し、クルーズ船の寄港がない冬期間にCIQ・待合エリアを子どもたちのスポーツや各種イベント、屋内遊び場として活用する考えを示した。さらにクルーズターミナルを含む金沢港全体でライトアップを施し、夜間景観を創出する。鼠多門に関して、今春頃に上棟式を実施し、完成に合わせて門及び橋をライトアップする方針も示した。
工芸館について、国立美術館との協議の結果、工芸館所蔵の人間国宝及び日本芸術院会員の全作品約1400点の移転が決まったとし、工芸界の巨匠・松田権六氏の工房を移設して、足跡を紹介するコーナーも設ける。
このほか、来年度から加賀海浜産業道路の(仮称)手取川橋梁、南加賀道路本線ルートにおけるJR跨線橋の橋梁上部工にそれぞれ着手し、ともに22年度中の供用開始を目指す。