北海道建設新聞社
2019/01/07
開発局、道の19年主要事業・施策動向 震災復興本格化
社会や経済、そして建設業界にとっても大きな環境変化が予想される2019年がスタートした。5月1日に新天皇が即位し、新たな元号へと改称。10月には消費税率が10%に引き上げられる。各業界は、4月の改正出入国管理法施行で変わる労働市場への対応が求められる。道内に目を転じれば、4月の選挙で新知事が誕生。北海道胆振東部地震の復旧・復興が本格化し、インフラ強靱(きょうじん)化へ集中投資も実行される。道内7空港の一括民間委託、白老町の民族共生象徴空間開設準備は大詰めを迎え、新たな北海道の姿が見え始める。北海道開発局と道が主体的に関わる事業や施策などについて、19年の主な動きをまとめた。
■急がれる災害復興と強靱化
ここ数年で多くの自然災害に見舞われた本道では、何よりも災害対応が注目される。胆振東部地震の復旧・復興はさらに加速。道や市町村の公共土木施設は今月中にも災害査定をおおむね終え、本格的な復旧工事を発注する。土砂災害対応では、厚真町で直轄3渓流、補助10渓流の砂防、2地区の急傾斜地崩壊対策が災害関連緊急事業として19年に着工する。
昨年末、政府は「防災・減災・国土強靱化のための3か年緊急対策」を閣議決定。全国で7兆円(事業費ベース)を投じて、160項目に及ぶ対策を図る。本道も災害復旧と並行して取り組む。
近年の災害で代替機能を発揮する高規格道路は、深川留萌自動車道留萌大和田―留萌間4`、旭川紋別自動車道遠軽瀬戸瀬―遠軽間7`、44号温根沼―根室間7`が19年度内供用へ整備を促進する。
■治水・利水でダム建設推進
道は、佐幌ダム再生の19年度新規着手を予定する。16年台風では佐幌川でJR橋が落橋、家屋や農地にも重大な浸水被害をもたらした。対策として既存の佐幌ダムをかさ上げし、洪水調節機能を増強する計画。事業費130億円を想定している。
直轄では、新たに幾春別川総合開発三笠ぽんべつダムの堤体建設費を19年度当初の開発予算で確保。9月ごろの発注が見込まれている。一方、道が建設を進めてきた厚幌ダムは震災を乗り越えて、今春の供用開始予定だ。
■交通政策は判断の年≠ノ
道内7空港の一括民間委託は、運営権者の選定が最終段階に入る。1次審査は3者が通過していて、5月が書類提出期限となる2次審査を経て、いよいよ7月ごろに運営権者の候補である優先交渉権者を選ぶ。
民間委託は20年6月から順次始まるが、その皮切りの新千歳空港では開発局による国際線駐機場整備が佳境に。さらに、現在の誘導路の南側や東西両端に航空機の円滑な移動を促す誘導路を新設する複線化計画もあり、両端の誘導路は19年度内の着工も予定する。
経営難のJR北海道を巡っては、道が市町村と共に独自支援に乗り出す。輸送密度200人以上2000人未満の維持困難8線区が対象で、定時性や快適性の向上など利用促進に資する設備投資を予定。また、21年度以降も国の支援が継続するよう、法改正を見据えた検討組織も設置する。
■世界と接近、活力取り込み
4月の改正出入国管理法施行により、今後、各業界で外国人労働者が増加する。道は、人手不足解消と経済活性化につなぐため、3月までに受け入れ対応の方向を示す。
主要20カ国・地域(G20)観光大臣会合が、10月に倶知安町で開かれる。道内では10年のAPEC貿易担当大臣会合以来の大型国際会議で、関係機関は震災で落ち込んだ観光復活もアピールする。
カジノを含む統合型リゾート(IR)について、道は昨年、苫小牧を優先候補地とする考え方のたたき台を提示。今月からの地域説明会を踏まえて誘致判断する考えだが、時期は明言していない。大阪や長崎などは既に誘致を表明していて、道も早急な決断が迫られる。
■本道の発展支える公共施設
20年開校を目指す道立林業大学校は、本校舎を旭川市内に、地域拠点を道内各地に設置する。本校舎は林産試験場庁舎の一部を改修して転用するほか、庁舎北側に増築。改修部分は4月まで設計を進めて夏に着工、20年度に供用する。増築部分は19年9月まで設計し、21年度供用を予定する。
道庁赤れんが庁舎は、耐震化やバリアフリー化を含めた大規模改修の発注を予定する。デザインビルド方式を採用し、応札者に高度な技術提案を求める方針。4月下旬の公告、9月ごろの入札を想定し、22年度完了を見込む。赤れんが庁舎が開拓行政の歴史と精神を伝え、貴重な観光資源であり続けるためにも、注目すべき1年になりそうだ。