2019年に着工予定の主なマンション計画を見た。超高層物件やワンルーム・1Kなどの投資物件の供給が増えている中、都心居住や駅により近い物件に対する需要増を踏まえる形で、各社は計画を具体化する。
■大量供給が見込まれる超高層物件
19年の着工が予定されている超高層物件で階数が最も高いのは、住友不動産が堺筋本町に計画している(仮称)備後町計画。地上48階建てで、高さは165b。延べ床面積は8万8600平方b。住戸数は明らかにしていない。清水建設が設計・施工を担当する。建設地の大阪市中央区備後町2丁目は「船場エリア」の中心部。本町駅や堺筋本町駅などを最寄りに都心居住を実現する。
階数で続くのは、京阪電鉄不動産の(仮称)大阪市中央区谷町2丁目PRJ。地上42階建てで、延べ床面積は2万7890平方b。住戸数は約240戸。谷町筋に面し、大阪城を望む眺望も売りとなる。設計は浅井謙建築事務所、施工は鴻池組が担当。京阪電鉄不動産は「今までになかったタワーマンションを創出するプロジェクトになる」と意気込む。
物件数で独走するプレサンスコーポレーションも大阪市西区新町に(仮称)プレサンスロジェ新町タワーを計画中だ。地上31階建て延べ1万5200平方bの規模で、住戸数は138戸。設計は日企設計、施工者は未定だ。地下鉄四ツ橋駅近くの日鉄住金物産ビル跡地に建設する。
奈良県橿原市に本社を置くフクダ不動産も上本町駅近くにタワーマンションを建設する。(仮称)大阪市天王寺区東高津町マンションで、地上30階建て延べ1万9060平方bの規模。住戸数は162戸の予定。ナカノフドー建設が施工を担当する。
関電不動産開発と三井不動産レジデンシャルは、難波宮跡公園の南側で(仮称)中央区上町計画を新築する。規模は地上29階建て延べ1万4712平方b。住戸数などは確定していない。長谷工コーポレーションが設計・施工を担当する。
■コスモスクエア駅前に大規模マンション
超高層以外の物件では、近鉄不動産と東急不動産、アーク不動産、サンケイビル、長谷工コーポレーションの5社が、(仮称)住之江区南港北プロジェクト新築工事を計画。コスモスクエア駅前に15階建て延べ2万7901平方bの大規模マンションを建設する。長谷工コーポレーションが設計・施工を担当する。
城東区今福東1丁目マンション計画は、アートプランニングが今福鶴見駅に近い旧イトーキ本社ビルを解体した跡地に建設する。規模は15階建て延べ1万4266平方b。
東急不動産は、大阪市中央区松屋町住吉計画を準備している。15階建て延べ1万0770平方bの規模。単身・ディンクス向けにホテルライクな商品を提供する。
■公有地落札物件も計画具体化へ
18年に売却された公有地を落札した各社も計画の具体化に動く。北大阪急行桃山台駅に近い吹田市竹見台4丁目の大阪府警察待機宿舎跡地は、近鉄不動産が22億3540万円で落札した。吹田市竹見台4ノ5ノ3(単独所有地)の面積4049・4平方bと同4ノ5ノ12(共有地)の面積1822・07平方bを開発する。
大阪市中央区の上町住宅用地は、積水ハウスが58億0100万円で落札した。物件所在地は大阪市中央区上町1ノ2ノ11。土地面積は3327・98平方b。地下鉄玉造駅が最寄りとなる。
北大阪急行桃山台駅前の駐車場用地を34億1200万円で落札したのは東急不動産。物件所在地は吹田市桃山台2ノ10ノ13。土地面積は2340平方b。80戸のマンションを開発するもようだ。
国立循環器病研究センターが吹田市内に保有する「藤白台跡地」と「青山台跡地」はアーク不動産が計71億円で落札。藤白台跡地が吹田市藤白台5ノ125ノ23の面積6万5990・08平方b、青山台跡地が吹田市青山台3ノ119ノ678の面積7965・05平方b。このうち、青山台跡地には8階建て149戸のマンションを建設する計画だ。
■19年マンション供給予測、大阪市部は前年増
不動産経済研究所が発表した近畿圏マンション市場予測によると、19年の供給は前年と比ベ横ばい(0・5%増)となる2万戸と予測。消費増税の駆け込み需要次第で2万2000戸に増える可能性もあると見る。地域別の内訳では、大阪市部が前年比6・4%増の9800戸となるものの、大阪府下は同8・7%減の4000戸。
大阪市部は、販売開始が18年から19年にずれ込んだ「超高層物件」が大量に供給される見込みで、ワンルーム・1Kなどの「投資物件」も中心地などでのホテル建設との競合を避ける形で市内外周部に広がりそうだという。大阪府下は物件が小規模化しているのが供給減の原因の一つとみる。
提供:建通新聞社