東京都建設局が有識者会議で検討作業を進めていた「日比谷公園グランドデザイン」がまとまった。誰もが迎え入れられ心地よく過ごせる公園、まちと連携し相乗的に新たな魅力を生み出す公園など五つの将来像を示すとともに、バリアー解消や大音楽堂の改築方針の検討、日比谷公会堂の改修・活用方針の策定などを速やかに進めることを求める内容。同局はこれを踏まえ、優先順位を考慮しながらバリアフリー化などの事業に速やかに着手するとともに、計画的な事業展開に向けて2019年に整備計画を作成する。
将来像として提示したのは、「誰もが迎え入れられ、心地よく過ごせる上質な公園」「まちと連携し、相乗的に新たな魅力を生み出す公園」「歴史的、文化的価値を顕在化させた特別な公園」「緑とオープンスペースのネットワーク形成の核となる公園」「多様な主体と連携し、利用者の視点で運営する公園」の五つ。
心地よく過ごせる公園とするための取り組みでは、質の高いサービスの提供や施設の整備・改修により利用者のニーズに対応するよう求めた他、段差などのバリアーを解消し、施設整備に当たってはユニバーサルデザインに配慮することが重要だと指摘。公園へのアクセシビリティーを向上させるため、周辺のまちづくりと連携し、地下やデッキなどで公園とまちをつなぐことを提案した。
新たな魅力を生み出すための施策としては、日比谷公会堂や大音楽堂の改修、公園内の風景と周辺建物を対比できるビューポイントの創出、施設のライトアップ、公園を俯瞰(ふかん)した際の景観に配慮した施設整備や植栽管理などを掲げた。
文化的価値を顕在化させる取り組みでは、歴史的・文化的価値を明らかにし、将来に継承する保存と管理の計画を策定するよう求めるとともに、都指定有形文化財の日比谷公園管理事務所や都選定歴史的建造物である日比谷公会堂などの歴史的価値を保全・修復・改修して活用することが必要だとした。
緑とオープンスペースのネットワーク形成については、周辺のまちづくりとの連携による緑やオープンスペースの確保、皇居外苑(がいえん)などとの一体感の創出、統一サインの設置や公園施設のデザイン・色の統一などに取り組むよう求めた。
利用者視点による運営に関しては、公園事業に関する協議会などを設置して整備、維持、運営に取り組むことを提案。都民やNPO、企業などとの連携を深め、民間活力を導入することで公園の魅力を高めるよう求めている。
提供:建通新聞社