2015年3月に開業した北陸新幹線。来春には開業5年目に入るが、その間、金沢市内ではホテルの新設ラッシュが続いている。未着工のビッグプロジェクトも控えており、目が離せない。
ジェイアール西日本不動産開発は今後、同市広岡3丁目、西日本ジェイアールバス移転後の跡地(約7000平方メートル)の開発に本格的に着手するものとみられる。当初プランによると、ホテル棟(11階建て)、オフィス棟(10階建て)、立体駐車場棟(7階建て)の3点セットで、新幹線時代にふさわしい観光・ビジネス機能を一体的に整備する狙い。
同じ広岡地区には日銀金沢支店の移転も計画されている。2019年度中に現在地とほぼ同規模の5000平方メートル以上の用地を確保したい考え。数年で設計・着工し、完成させたいとしている。
駅西の50メートル道路沿い、通称10ブロック(845平方メートル)に、大手デベロッパーの森トラスト(東京)が外資系ラグジュアリーホテルの開発を計画している。森トラストは「マリオット」をはじめ、「コンラッド」「ウエスティン」「シェラトン」などを運営しており、オリックスの「ハイアット」に続く、外資系ホテルの金沢進出で、今後の計画具体化に関心が高まる。
金沢駅東、兼六園口に目を移すと、「金沢都ホテル再開発」がある。27日までに既設地上部分の解体工事を終え、広大な敷地が現れた。近鉄不動産では「再開発プランの決定に至っておらず、駅前にふさわしい施設にするため、深掘りに時間を要する」としている。当面は駐車場などの暫定利用が想定されるが、4886平方メートルと駅前の超一等地で今後の動向が気がかりだ。
街なかでは「片町きらら」に続き、片町四番組海側地区市街地再開発準備組合が提案型プロポーザルで事業協力者を選定中だ。片町2丁目の区域面積約0・4ヘクタール、権利者は16人、45メートル高度地区で、エリアマネジメント手法による再開発となっている。
日銀金沢支店の移転後の跡地利用も重要な課題だ。山野之義金沢市長は「(跡地は)単体でなく、エリアとして考えていくことがあってもいい」との認識を示すほか、学識経験者からは既存施設の一部保存を求める意見も出ている。
今月10日、実現に向けたシンポジウムが開催された「(仮称)金沢アリーナ」は、1万人規模のアリーナを核に、商業施設やホテルとの連携も視野に、スポーツ・コンベンション、エンターテインメントによる石川県の新たな賑わい拠点、さらなる交流人口の拡大と地域活性化・発展に欠かせない。
これらのプロジェクトは新幹線時代の金沢に欠かせない都市機能であり、早期の完成・実現が期待される。