18年度の1級建築士「設計製図」試験の合格者が20日発表され、福井県は受験者49人のうち、22人が合格した。合格率は44・8%。
17年度の合格者が12人(合格率31・5%)と少な目だったため、減少傾向に歯止めをかけるような今回のV字回復に、関係者は胸をなでおろしている。
また建築士の若手人材確保をめぐっては、画期的な動きがあった。先の国会における建築士制度の改正案決議で、実務経験がなくても建築士試験の受験が可能となった。
現状は、一定の実務経験が必要で、就職後の受験となり、業務と勉強の両立という大変厳しい環境下にある。一級建築士の資格者(現14万人ほど)がここ10年で半減した要因がこの受験制度にもあると指摘されていた。
実は、今改正の立役者は福井県建築工業会(見谷貞次会長)であり、厳しい受験環境の克服へ、いち早く動いた活動の成果だった。
国土交通省も同会の機敏な動きを讃え「もしも石を投げてもらえなければ実現しなかった」と認め、地方の力を見直すほど。建築に対する若者の意欲を増し、社会全体として安全で住みよい建築物をつくるための大きな契機になるとしている。
18年度合格者名一覧
室谷 一郎
野口 裕介
小林 郷史
夏見 恵利子
清水 裕登
小山 哲生
三好 豊恵
田島 和典
新井 亮太
松田 悟
西川 知美
三坂 元太
宮前 あい
高部 淳
中村 仁俊
吉田 教治
小倉 由香里
小林 清人
黒田 秀之
河端 俊弘
次郎内 悟
伊井澤 信博
CADによる受験など/さらなる制度改善へ
福井県建築工業会では今改正を「受験する若者と建築業界にとり画期的な改革になった」と歓迎する。ただ大学4年間に受験可能なよう要望した点について「卒業後となり、理想からは1年遅くなった」と残念な気持ちを隠さない。「今後はCADでの受験問題や、学科試験合格後の実務経験(設計試験)の有効期限延長(現状は学科試験合格者は2年間のみ有効)などを求めていく」としている。
福井県建築士会歌門敬二会長のコメント
(受験者本人をはじめ関係者には)大変よく頑張っていただきました。全国の合格率が41%に対し、福井県は44%で健闘の結果が表れたと思います。昨年の合格者が12人のため、正直心配はしていたのですが。ところで先の国会における建築士法の改正には大きく期待しています。実は、福井県が声を上げて国を動かした成果なのです。国も地方の力を見直ししています。来る19年新春の建築年賀会(1月4日開催)においても、ぜひこの事実を皆さんに知ってもらいたいと考えています。