滋賀県は20日、「今後の大戸川治水に関する勉強会」の第2回会議を開催した。県は、大戸川ダムが大戸川流域に与える治水効果として、過去に同流域で発生したすべての洪水に対して外水氾濫を抑制し、さらに規模が大きい近年の全国での実績降雨に対しても被害を軽減、または、避難時間等を確保できるとする検証結果を報告した。
報告によると、ダム整備後、大戸川流域で実際に発生した洪水のなかで最も大きい25年台風18号では浸水面積が整備前より約38〜60%減少するとした。
近年発生した全国の豪雨を大戸川流域にあてはめた場合は、29年九州北部降雨では浸水面積約35〜36%減、30年西日本豪雨では浸水面積約24〜33%減、全国最大規模の27年関東東北豪雨では大戸川からの氾濫が約8時間遅れ、避難時間や避難路を確保できるとした。
また、貯水型ダムが橋梁部の閉塞等の原因となる土砂・流木を捕捉し被害を軽減した全国事例を報告した。
一方、課題は、ダム建設に伴う内水氾濫による浸水リスク、後期放流による内水浸水時間の延長、ダムの満水が近づいた時の異常洪水時防災操作(放流量を徐々に増やし、ダムへの流入量と同じ量を下流へ放流)による急激な浸水範囲の拡大、浸水位の上昇−。
会議では、報告を受けて、ダムの容量・形式(貯水型、穴あき型)や下流の整備状況によりダム操作が変わることへの理解と流域全体での合意が重要なこと、異常洪水時防災操作による氾濫の前の避難勧告等のタイミングについて検討しておくことなど、意見交換した。
第2回会議では委員による協議の後、大戸川ダム計画地上流の甲賀市の岩永裕貴市長が特別出席し、ダム建設を出発点とする上流域の河川改修を訴えた。