小田原市は、歴史的建造物である豊島邸の活用に当たり、民間活力を生かし新たな魅力の創出と地域の活性化につなげる民間事業者の募集を開始した。提案書の受付期間は2019年1月10日。また、同年1月8日受付締め切りで現地見学会を開く。優先交渉権者の決定は2月下旬、建物賃貸借契約の締結は3月下旬を予定している。
また、募集に当たり賃貸借契約の締結後、同屋敷の耐震補強を市施行で実施する。今回の募集では、応募者が耐震改修と内外装改修を合わせて行う建造物整備パートナーを選定することも可能。この場合は、市と最終交渉権者、同パートナーの間で基本協定を締結。市が同パートナーに改修工事を発注する。このため、同パートナーの有無により2種類の応募パターンのいずれかを選択することが必要。
応募要件は、同屋敷を借り受け、事業を運営できる資金力と企画力、経営能力を持つ法人。同パートナーの要件は、建築一式の建設業許可を持ち、許可後2年以上が経過し、工事実績や耐震改修などを遂行できる者。また、経営事項審査の建築一式工事の最新総合評点が660点以上。
耐震改修では、主屋全体を耐震補強する他、設備改修では主屋トイレの男女分離や厨房(ちゅうぼう)・展示室・空調機器などの整備、板塀の駐車場口付近の改修、玄関や正門基壇部分の段差解消を実施する方針。
実施設計はARCHITO一級建築士事務所歩く人(葉山町)が担当した。
同屋敷(一月庵)は木造平屋瓦ぶきで、延べ床面積167平方b。主な内容は主屋(119平方b)や画廊(30平方b)、付属屋(17平方b)。
現況は消防施設なしだが、警備システムは導入済み。PCBとアスベストについては未調査となっている。
同屋敷の所在地は栄町4ノ9ノ44で、敷地面積が881平方b。用途地域は近隣商業地域(市街化区域)で、建ぺい率80%、容積率200%。準防火地域で、第2種高度地区や景観計画区域、小田原駅周辺の都市機能誘導区域などの規制がある。
同屋敷は1941年建築で、書院風と数寄屋風の意匠を組み合わせた特色ある歴史的建造物と自然豊かな庭園を持つ邸宅。2015年に同屋敷を寄贈された市は有効活用に向け、国土交通省所管の「集約促進景観・歴史的風致形成推進事業制度要綱」が定める、景観・歴史資源となる建造物に指定した。民間事業者募集に向け、先行して実施したアイデア募集では、事業者などから7件のアイデアが寄せられた。
提供:建通新聞社