神奈川県企業庁は、年間の管路更新率を2023年度までに「1%以上」とする考え。延長1000`を超える老朽管の更新・耐震化を進めるため、現状のペース(18年度見込み0・68%)を段階的に引き上げるもの。これにより、23年度時点の老朽管残存率は11%にまで下がることになる。また、管路の耐震化率(耐震継手管の布設延長)は現状を4ポイント上回る24%を見込む。19年度に開始する次期「県営水道事業経営計画」の素案に盛り込んだ。
次期計画における主要な取り組みの一つが、管路の適切な更新・維持管理。県営水道の管路延長約9200`のうち老朽管は1000`以上に上り、これを中長期的な視野に立って計画的に更新していく。また、浄水場と主要な配水池をつなぐ基幹管路や、災害時の重要給水施設への供給管路を優先して更新・耐震化を進めていくとしている。
計画の最終年度(23年度)までに向上させる指標としては、老朽管残存率と管路耐震化率の他、基幹管路の老朽管残存率24%(18年度見込み27%)、基幹管路の耐震適合率74%(同69%)、重要給水施設への供給管路の耐震化9施設(同1施設)などを挙げた。
今後の人口減少や水需要減少へのハード的な対応としては、ダウンサイジングや統廃合を進める方向。配水池111カ所を107カ所に、小規模水源12カ所を9カ所にまで減らす。配水池の統廃合に際しては、他の浄水場からの供給に必要となる連絡管などを整備する。
また、経営基盤の確立にも努める。業務の委託化などによる民間活力の活用、工事設計の効率化、ICTの活用を通じて業務を効率化させる。また、教育機関や民間団体と連携し、今後の管路更新を担う技術者を育成する方針だ。
この他、危機管理体制を充実させていくとした。近年、多発している自然災害に対応するためで、▽火山対策(谷ケ原浄水場へのアルカリ剤注入施設の設置、PAC注入施設の増強)▽浸水対策(寒川第3浄水場の外周コンクリート擁壁の嵩上げ、ダメージコントロール対策)▽停電対策(揚水ポンプ所への電源車対応設備の整備)―を講じていく。
計画は県議会への報告後、19年3月に正式決定する予定。
提供:建通新聞社