「将来ずっと働いていけると考えた」「地域社会の役に立て、やりがいを感じられると思った」―。東京都立田無工業高校(東京都西東京市)と建設業振興基金が12月12日、来年4月の建設業への就職が内定している同校3年生を集め、就職を考える座談会を開いたところ、参加者からはそんな声が目立ち、安心して働き続けられる就業環境と、仕事へのやりがいを重視する若者の意識が浮き彫りになった。
座談会には、建設業への就職が決まっている20人が参加。若者の建設業への入職促進につなげるため、会社を選んだ理由など就職について話し合ってもらった。
建設業で現在大きな課題となっている休日2日に関しては、休日を重視する意見が目立った。労働条件の中でも特に大事な点として「週休2日」を挙げた生徒は、「初任給は高くても、休みの少ない会社は避けた」と話した。「給与が高くても、(過労で体を壊し)辞めてしまっては意味がない」と話す生徒もいた。
また、大半の生徒が「最初に就職した企業で定年まで働きたい」という気持ちを持っていることが分かった。
休日とともに「仕事のやりがい」にも関心が高かった。まちづくりなど地域に密着した仕事にやりがいを感じる声が多く、仕事の成果がかたちに残ることを建設業の魅力に挙げる意見があった。
大手鉄道会社の保線担当に内定している生徒は「たくさんの人が利用する鉄道の安全管理を担い、事故防止など、目に見える形で成果を出したい」と話していた。
一方で、「きつい・きたない・危険」の3Kの建設業のイメージが依然として若者にあることも分かった。具体的なイメージとして「危険」「大変」「厳しい」といった指摘があった。また、不安な点について、「体力」や「夜勤」を挙げる生徒が多かった。
田無工業高校によると、求人は2011〜12年ごろと比べて7倍以上に増えている。同校では、企業約380社と連携し、学業とともに職業教育を行う「デュアルシステム」を推進している。
今回の座談会では、インターンシップなどを通じて、勤務時間や給与などといった数字に表れる要素だけではなく、職場の人間関係も含め就業環境を見極めようとしている若者の意識も感じられた。
就職戦線は圧倒的な売り手市場が続いている。人手不足に悩む建設業は、週休2日などの条件を整えるとともに、将来にわたって安心して働ける就業環境をつくっていかなければならない。
提供:建通新聞社