大阪湾岸道路西伸部の海上長大橋が世界最大規模になる可能性が出てきた―。湾岸西伸部の航路部2カ所に架設する海上長大橋の橋梁形式の比較案が出そろった。新港・灘浜航路部が連続斜張橋(等径間)と単独斜張橋、神戸西航路部が1主塔斜張橋と2主塔斜張橋の各2案計4案。採用される案によっては世界最大規模の斜張橋が神戸港に誕生する。「大阪湾岸道路西伸部技術検討委員会(委員長=藤野陽三東京大学名誉教授)」の中間取りまとめとして、12月14日に大阪市内で発表された。今後、残された課題を検討し、1年以内に橋梁形式を絞り込むスケジュールだ。
今回の4案は、予備設計候補案として示した。このうち新港・灘浜航路部の連続斜張橋(等径間)は各主径間(支間長650b)を均等割りにしたもので、連続斜張橋としては世界最大規模になる。一方、単独斜張橋は、二つの航路幅により決定される最少支間を設定した2連の斜張橋で、支間長は最少となるが中間部に橋脚が必要になる。
神戸西航路部の1主塔斜張橋は、航路幅より決定される最少支間を設定して1主塔でケーブルを配しており、同タイプの斜張橋としては世界最大規模となる。対して、2主塔斜張橋は航路幅より決定される最少支間を二つの主塔で支える。支間長はいずれも480b。
大阪湾岸道路西伸部は、六甲アイランド北(神戸市東灘区)〜駒栄(長田区)間延長14・5`に整備するバイパス事業。構造規格は第2種第1級、全6車線。設計速度は時速80`。総事業費は5000億円を概算。国土交通省近畿地方整備局と阪神高速道路会社の合併施行によりおよそ8年後の完成を目指し今後工事が進められる。
神戸港を東西に貫く形で計画されており、途中、新港・灘浜と神戸西の二つの航路を長大橋で跨ぐことになる。
海上長大橋の計画検討に当たっては、国際航路を跨ぐ難易度の高い橋梁架設工事になることから、有識者らによる技術検討委員会を設置。最適な橋梁形式選定と橋梁・構造計画の検討を進めてきた。同委員会では橋梁形式の選定に先立ち、計画コンセプト案(災害時にも機能する道路、みなと神戸にふさわしい景観を創出する道路、時代の変化に対応できる道路)を策定。今回の4案は、コンセプト案に見合った性能について、技術面、コスト面などを踏まえ総合的に評価し選定した。
阪神高速道路の金治英貞・建設更新事業本部神戸建設部長(兼建設・更新事業本部副本部長)は、「今後は、荷重たわみが大きい形式への対応や、断層などの最新の調査結果を反映しながら、最適な橋梁形式を選定し、世界に誇れる橋梁を目指す」と話した。
提供:建通新聞社