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建通新聞社
2018/12/17

【大阪】関空災害対策に540億 護岸嵩上げに着手

 関西エアポートと新関西国際空港会社は12月13日、台風21号により滑走路や地下施設が浸水するなどの被害を受けた関西国際空港の災害対策の取り組みを発表した。ハード面では、護岸や防潮壁の嵩上げなどの検討・実施に着手する。総事業費は約540億円を想定し、今後事業の中身を詰め、予算要求の結果を踏まえて確定する。
 護岸を越えた高波により、空港敷地内に約270万立方bの浸水があったことが被害の主な原因との検証委員会の検討結果などを踏まえ、予防・減災・復旧の三つの観点から災害対策に取り組む。
 ハード面の主な対策は、消波ブロックの設置(積み増し)、護岸の嵩上げ、防潮壁の嵩上げ、排水ポンプの防護を実施。さらに万一浸水した場合の減災対策として、第1ターミナルビルへの流入経路上約40カ所に自動起伏式の止水板を設置。電気施設への浸水を防ぐ水密性ドアの設置は60カ所の予定。電気設備など(特別高圧電気室、高圧電気室、中央監視室・警備防災センター・自動放送機器室)の地上化なども行う。
 このうち、来年の出水期までの完成に向けて短期間で施工・調達可能な止水板設置、水密化、大型ポンプ車配備を緊急対策として先行実施する。現在は着工に向けた準備段階としている。
 護岸の嵩上げは、現況の約4bから5b程度にすることを第1弾として検討、さらに今後、設計値を見直す中で追加の嵩上げを検討する。護岸の延長は南側が約1250b、東側が約4400b、北側が約840b。現在は設計に取り掛かる段階で、対象となる護岸や具体的な事業量は今後検討する。着工は2019年度になりそうだ。
 南側の防潮壁も現況の約4bを1〜2b程度嵩上げ。延長は約1000bを見込んでいる。19年度中に完成させる。
 排水ポンプは電気施設を鉄骨で覆う形で浸水を防ぐ。同対策も19年度の完成を予定している。
 12月13日に開いた記者会見には関西エアポートの山谷佳之社長、エマヌエル・ムノント副社長、新関西国際空港会社の春田謙社長らが出席。山谷社長は「検証委員会の詳細な分析を踏まえ、ハード対策は確実に早期に実施していく」と強調した。
提供:建通新聞社