日本工業経済新聞社(茨城)
2018/11/09
【茨城】水戸市が新たに三の丸地区周辺で電線地中化
水戸市は、歴史と文化に育まれたまちづくりを進めるため「市歴史的風致維持向上計画」について、2019年度から10年間の第2期計画の素案を作成し、意見公募を開始した。計画では、水戸城跡や旧城下町、風致区域などを重点区域に位置付け、文化財や歴史的建造物の保存・活用、景観向上事業などとして、弘道館公園整備、偕楽園公園整備、水戸城大手門・二の丸角櫓復元整備、千波公園整備などを進めていく。19年度からは三の丸地区周辺景観整備として、同地区周辺の電線地中化や道路の拡幅、車道・歩道の再整備、沿道周辺の広場整備などを行う。
水戸市では、08年に施行された「歴史まちづくり法」を受けて、歴史と文化に育まれたまちづくりを進めるため、09年に歴史的風致維持向上計画(第1期)を策定。国の支援を受けながら10年間にわたり、弘道館や偕楽園の整備、千波湖周辺の景観整備、祭礼や 俗芸能の保存・承継の支援などを行ってきた。
歴史的風致を維持・向上し、水戸ならではの歴史まちづくりを推進するため、19年度から10年間の同計画(第2期)の素案を作成し、意見募集を開始した。
素案では、文化財の保存・活用、歴史的風致維持向上施設の整備や管理、歴史的風致形成建造物の指定・管理指針などをまとめた。
事業の実施に当たっては、施設や周辺の歴史的背景を十分に検討した上で周辺の景観と調和する整備を行う。国や県の支援を有効に活用し、施設の積極的な公開・活用を図る。施設は適切な維持管理に努める。
素案は意見公募を行った後、市として計画を決定して国へ申請を行い、認定を受ける予定。
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歴史的風致維持向上計画の第2期計画素案に盛り込んだ歴史的風致維持向上施設の整備事業は次のとおり。
【歴史的建造物等の保存・活用】
◆弘道館公園整備事業(事業期間17〜28年度。事業主体は県)
保存活用計画に基づき、1857年(安政4年)の本開館時の弘道館の姿を目標に段階的な整備を進める。
・指定地内動線のバリアフリー化
・案内表示、ガイダンス機能、展示改修など
・テニスコートの撤去・跡地整備、トイレ洋式化
・藩校時代の諸施設の再現検討
◆偕楽園公園整備事業(07〜28年度。事業主体は県)
保存活用計画に基づき、文化財の本質的価値の質の向上や利用者の満足度向上に資する取り組みを行う。
・好文亭の耐震化など歴史的建造物の整備、梅の後継木育成、景観整備、本来の歩行導線整備など
・ユニバーサルデザインを踏まえた公開ルートの整備、分かりやすい解説板整備、トイレ洋式化など
◆保和苑整備事業(16〜22年度。事業主体は市)
園内の継続的な整備を行うことで魅力向上を図り、周辺のまちなみと調和した景観づくりを進める。
・西側の修景施設整備
・園路の整備
◆水戸城大手門・二の丸角櫓復元整備事業(17〜20年度、事業主体は市)
歴史的建造物の復元・整備を行う。
・水戸城大手門の復元
・二の丸角櫓の復元
・大手門と二の丸角櫓周辺の土塀の整備
・二の丸角櫓へのアプローチの整備
【歴史的建造物等の周辺環境の景観向上に関する事業】
◆弘道館東側用地整備事業(14〜19年度、事業主体は市)
・歴史にまつわるイベントなどに活用できる広場機能の整備
・憩いややすらぎを感じることができる便益機能の整備
◆千波公園整備事業(18〜23年度、事業主体は市)
・千波公園の各広場などの整備
・千波公園拡張部の整備
・千波湖の水質浄化
◆都市景観形成助成事業(03〜28年度、事業主体は市)
都市景観重点地区(備前堀沿道地区、弘道館/水戸城跡周辺地区)における優れた都市景観づくりに寄与する行為に助成する。
◆水戸駅前三の丸地区市街地再開発事業(16〜21年度、事業主体は再開発組合)
水戸駅から弘道館方面へのアプローチを確保し、歴史的な景観に配慮した整備を行うことで、水戸の玄関口にふさわしいまちなか交流拠点の形成を目指す。
◆三の丸地区周辺景観整備事業(19〜28年度、事業主体は市)
三の丸地区周辺の電線の地中化や道路の拡幅、車道・歩道の再整備と、合わせて沿道周辺の広場の整備などを行う。