滋賀県が計画している、老朽化が進む信楽窯業技術試験場(甲賀市信楽町長野)の移転整備計画について甲賀市は、移転予定地として買い上げ予定の国道307号から陶芸の森方面へ約100b入った民有地の用地取得に係る議会承認を来年3月開催予定の定例議会で承認を求める方針だ。
承認後は、速やかに用地取得に取り掛かり、当初計画通り、県が新試験場を建設後に現在の試験場がある県有地と交換する。
また、市は信楽窯業技術試験場周辺には、保育園・幼稚園・学童保育所・小学校・中学校・高等学校といった信楽地域の保育・教育施設の集約地であることから、市道整備も含めた「文教ゾーンの再編」をメインに、部局横断的な検討及び議会への報告・相談を用地取得と共に行い、市民にとって最善の結論を追求していく。
現在の県・市側の整備に係る状況を見ると、双方の担当者レベルでの協議を順調に進めており、現在取り組んでいる県側の事業計画等の情報共有や、移転後の信楽窯業技術試験場跡地の活用方針及び用地取得方法・時期などの協議を行っている模様。その中で、県は今年度に信楽窯業技術試験場移転に係る基本計画を策定すると公表したものの、以後の具体的な年次計画は明らかにせず、34年度の供用開始を図る考えで計画を進めていくとしている。市も、県の事業ペースに足並みを揃え、効果的かつスピーディーな事業進捗を図るために積極的な情報交換等を行っていく考えを示している。
なお、信楽窯業技術試験場が県立陶芸の森(甲賀市信楽町勅使)近くの民有地へ移転することについて市は、県立陶芸の森が市内最多の観光入込客数を誇る観光拠点であることから信楽窯業技術試験場が近隣に建設されることで更なる客数増加が期待できるだけでなく、信楽窯業技術試験場から発信する、ものづくり企業への技術・情報提供や人材育成といった機能と、県立陶芸の森が保有する産業技術・研究成果や世界レベルのアート情報の密接な連携が期待でき、文化・産業・産業技術が融合する拠点エリアとして世界市場に目を向けた広域的な地場産業の活性化を目指すことが出来ると、県との考えが合致していると考えを提示し、県と強力にタッグを組んで事業推進を図っていくと力強く宣言している。
現在の信楽窯業技術試験場は、40年以上前に建設。業務は製品試験などの技術支援や窯業技術者の研修、技術開発など。老朽化から当初は現地建て替えが検討されたが、地元などから陶芸の森と連携を強めることで、商品開発力や情報発信力が高まるとして、同森近辺の移転が要望されていた。施設規模は、敷地面積7561平方b。ここに▽本館・RC造2階建、延608平方b、▽開放試験室及び試作成形室棟・RC造2階建、延576平方b、▽固形鋳込成形室棟・RC造平屋建、91平方b、▽肉厚大物乾燥室棟・S造平屋建、63平方b、▽調土室棟・RC造2階建、延698平方b、▽第1焼成室棟・S造平屋建、612平方b、▽第2焼成室棟・S造平屋建、201平方b、▽その他(車庫、電気室等)延395平方b―等が整備されている。
提供:滋賀産業新聞