横浜市は「東部方面斎場(仮称)」の整備で、事業手法に従来型公共発注方式を採用する方針だ。PFI方式に比べ事業費は高くなるものの、市民らの要望や計画変更に柔軟に対応でき、分離・分割を通じて市内企業の参入機会を増やすことなども可能なため。仕様発注による延べ床面積約2万平方bの施設整備におよそ180億円の投入を見込む。2018年度内に事業手法の確定を含む基本計画を固めた上で、19年度の火葬炉調査や19〜20年度の基本設計、21〜22年度の実施設計を経て23年度の着工、25年度の供用開始を目指す。
鶴見区大黒町18ノ18の市有地8838平方b(鶴見区スポーツ広場として暫定利用中)に施設を整備して▽火葬炉16炉(うち予備炉1炉)▽告別・収骨スペース▽休憩室▽駐車場▽事務室▽売店―を配置する。葬祭ホールや遺体安置室も設置する方向。日本工営(神奈川事務所、横浜市中区)への業務委託の中で、基本計画の策定作業と事業手法の検討調査を進めている。
事業手法を巡っては、整備3年+運営15年で事業期間18年の前提条件を掲げた上で、従来型公共発注方式(設計、建設、維持管理・運営を分割、仕様発注で整備)とPFI方式(BTOで設計、建設、維持・管理を一括、性能発注で整備)の事業費を算出。その結果、従来型公共発注の194億3600万円に対し、PFIは6億3400万円安い188億0200万円(VFM3・3%)で済むことが分かった。
ただ、従来型公共発注方式は▽早期から市民らと対話しながら設計作業などを進めることができる▽設計、工事などさまざまな段階で要望や計画変更に柔軟に対応できる▽WTO対象以外の工事(工事全体の約30%、約50億円)の適切な分離・分割発注で市内企業の参入機会を増やすことができる―と指摘。市内経済の活性化を図るとともに、市民らとの対話を通じて着実に整備を推進する観点から「採用すべき手法」とした。
火葬炉調査や設計と並行して、19〜21年度に都市計画、20〜22年度に経営許可申請の手続きを進める考え。
提供:建通新聞社