総合建設業の岡部(本社・富山市八人町、岡部竜一社長)は、2011年に施工権を取得した透水性保水型土系舗装「ATTAC(アタック)工法」により、グラウンドや公園の園路、植樹帯・植樹枡・法面の防草などを施工している。
同工法は、添加剤を配合した土の微粒子が結合し、塊になることで水の通りが良くなり、舗装個所の透水性と保水性を向上させるというもの。硬さの調整が可能で、柔らかいグラウンドから硬めの園路まで幅広く使用できる。降雨後の水たまり発生の抑制や、表層の保水による気化熱の冷却効果で地表面温度上昇の抑制などの効果がある。
同工法の特性を活かしたATTAC路盤工法、ATTAC吹付工法の特許2件(12、15年)については、同工法を開発した福岡県内のコンサルタント会社と共同特許を取得している。都市部では、歩道の舗装時に透水性舗装の導入が義務付けられており、同工法によってゲリラ豪雨対策といった都市型水害の発生抑制にも役立てられる。法面部の防草対策にも効果を発揮。地山の表面に同工法を施すことで、雑草の発生を抑えながら雨水を地中へと流し込める。破砕すれば再利用が可能なため、自然環境にも配慮した工法だ。
同社は17年、2件の特許を独占的に使用できる専用実施権を、国土交通大臣認可組合である全国トース技術研究組合に設定する契約を交わした。大学教授らが名を連ねる同組合は、同工法の現象特性の解析および新技術開発に関する試験研究を行うなど、自然災害の抑制や温暖化対策に取り組んでいる。専用実施権について岡部社長は「われわれ地方の建設業者では、この工法の普及は難しい。(全国トース技術研究組合に)専用実施権を設定したことで、全国で役立ててもらえれば」と話している。