(仮称)金沢アリーナ推進協議会は10日、金沢市アートホールでアリーナによるまちづくり「(仮称)金沢アリーナシンポジウム」(後援/金沢商工会議所、一般社団法人石川県経営者協会、公益社団法人金沢青年会議所、認定NPO法人趣都金澤など)を開催し、スポーツやコンベンション、エンターテインメントによる新たな金沢の活性化方策を探った。
今回のシンポは、2025年までに全国にスタジアム・アリーナ20拠点の整備を目指す、スポーツ庁の2017年度第一期募集で採択された金沢アリーナ構想を理解してもらうのが目的。
会場には約170人が詰めかけた。まず、早大スポーツ科学学術院教授、スポーツ庁「スタジアム・アリーナ官民連携協議会」幹事などを務める間野義之氏が「アリーナの未来」をテーマに基調講演。19年ラグビーワールドカップ、20年東京オリンピック・パラリンピック、21年の関西ワールドマスターズゲームズといった、国内のゴールデン・スポーツイヤーズを踏まえ、「この3大会を契機にスポーツの産業化を図りたいというのが政府の考え方。アリーナは金沢をより良いまちにする起爆剤で、街なかにできれば、災害時、防災機能を担うこともでき、社会課題の解決に資することが可能」と述べた。
パネルディスカッションでは、日本政策投資銀行地域企画部参事役の桂田隆行氏がモデレーターを務め、キョードーファクトリー社長の前田三郎氏、コンベンション・リンケージ代表取締役の平位博昭氏、日本経済研究所社会インフラ本部インフラ部長の小原爽子氏、金沢武士団(北陸スポーツ振興協議会)社長の中野秀光氏、浦建築研究所代表取締役社長の浦淳氏がパネリストとなり、意見を交わした。
この中で、前田氏は「1万人規模の会場がないため、大きなエンターテインメントが金沢を素通りしている」と指摘し、平位氏も「医学学会などに適したキャパがないため、コンベンション開催が逃げてしまっている。施設があれば、誘致できる」と強調した。小原氏は「街なかでないと、本来のアリーナが有する活性化の効果や姿が実現できない」と述べ、中野氏は「冬場にいい。いろんな競技の人たちが一体になり、試合の前も後も楽しい時間を共有できる」と述べた。浦氏は「金沢アリーナは眠っているポテンシャル、新幹線時代の新たなプラットホーム。官民連携、みんなでつくり上げていきたい」と訴えた。
勉強会の成果など報告/第2回推進協議会開く
シンポジウムに先立ち、(仮称)金沢アリーナ推進協議会の第2回会合がホテル日航金沢で開かれた。
会合には金沢武士団の中野秀光社長ら協議会メンバーのほか、オブサーバーとして県や金沢市のスポーツ部局も出席。
事務局の浦淳氏はあいさつで「昨年度は金沢に民間主導でアリーナを建てられないかという可能性を勉強し、今年度はより精度を上げ、可能性について収支が合うのかといったことなどを精査してきた」と述べ、その上で「北陸新幹線が22年度に敦賀まで、30年台には関西まで延伸し、金沢は日本海側の拠点都市になる。金沢は北陸のゲートウェイとして、コンベンションやエンターテインメント、スポーツを含めた複合施設が必要になるだろう」と語った。
会合では、これまでの勉強会などでの成果が報告され、意見交換も行われた。