北海道建設新聞社
2018/12/07
【北海道】福山城、木造天守復元へ 整備期間は最短で16年
松前町は、福山城(松前城)跡にある復興天守を木造で復元する方針を固めた。現在、松前城資料館として利用しているため、文化財を展示する新たな施設整備も計画。概算で天守に30億円、展示施設に6億円を見込む。今後、整備基本構想や年次計画の策定、史実根拠の調査などを進める。整備期間は最短でも16年を要するとみている。
12日に開会する第4回定例町議会で石山英雄町長が福山城天守整備の方向性について行政報告する見通し。
福山城天守整備を巡っては、審議会の答申に基づき住民意見交換会やアンケートを実施。財政状況的に可能であれば木造復元という意見が多く、その後の調査で史実資料に基づいた使用木材での事業費算定が課題となっていた。
福山城は1854(安政元)年に完成。1935(昭和10)年に福山城跡が国の史跡に指定されている。41(昭和16)年に天守が国宝に認定されたが、49(昭和24)年に焼失した。
その後、59(昭和34)年に再建工事に着工し、約1年で完成。76(昭和51)年からは史跡保存整備事業を開始し、石垣や外堀などの復元的整備を進めている。
復興天守の規模はRC造、地下1地上3階建て。地階は福山城の縄張り図を展示し、1階には刀剣や書状などの旧藩資料や松前神楽関連を展示する。2階にはアイヌ民族資料と長者丸関係資料、3階展望台には明治初期から戦後、復興までの写真資料が並ぶ。
天守は同じ位置・規模で木造復元する。資料館に展示する資料などは、本丸広場に新たに展示施設として、本丸表御殿整備を目指し、貴重な絵図や資料、写真などを保存・展示することを考えている。
これらは文化庁の文化審議会の審査・承認を受けるもの。承認された場合は、国の史跡指定地内で同庁が認めた初の木造天守の復元整備となる。今後は、整備基本構想・年次計画策定のほか、史実根拠の調査と並行して文化庁との協議を進める。詳細な事業把握や道に対する支援要請など財源確保にも取り組む。