建通新聞社(東京)
2018/12/05
【東京】小池知事 防災事業や気候変動対策を進化
東京都の小池百合子知事は12月4日、2018年第4回都議会定例会の開会に当たって所信表明を行い、多発する大規模な災害を踏まえ「防災事業や気候変動対策を一層進化させ都民の安全・安心を守るとともに、政治経済の中枢としての首都機能を強靱(きょうじん)化する」と述べるとともに、「熾烈(しれつ)な国際競争に打ち勝つための成長戦略の展開、それを支える交通・物流ネットワークの形成など、日本の発展をけん引していくために進めるべき施策を推進する」との考えを示した。
日本経済をけん引する取り組みの一つとして掲げた築地市場跡地の新たなまちづくりについては、「現在、まちづくり方針の検討を進めており、広く都民の意見を聞いた上で年度内に取りまとめる」とし、立地に恵まれたポテンシャルを生かし、東京の持続的な発展につなげていきたいとの考えを重ねて示した。
環境分野についても「世界をリードする」と強調。ゼロエミッション都市の実現を目指して気候変動対策を強化することとし、具体策として「キャップアンドトレード制度での、オフィスビルなどでのCO2削減義務の引き上げと、再エネ電力の利用拡大に向けた新たなインセンティブの導入」「大規模建築物の省エネ性能を評価する制度での、『ゼロエネルギー・ビルディング』の基準新設や評価対象の拡大」を掲げた。
東京のエネルギーである「人」の安全・安心を守るための施策では、緊急性の高い防災事業や暑さ対策をスピードアップするために補正予算案を提案したと説明。安全性に課題のあるブロック塀の撤去や木製の塀の設置を支援するとともに、区市町村庁舎の非常用電源確保のための補助を行う。区市町村立学校の体育館への空調設置を促進するため、断熱工事や設計費も補助の対象とし、19年度予算ではリースによる対応も支援する。
また、安全・安心なまちづくりとして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため「テナントなど建物の占有者の責務などを新たに定める条例改正案を19年第1回都議会定例会に提案する」と述べた。木造住宅密集地域の解消による不燃化を加速するため、都が居住者の移転先を整備する事業についても触れ、「11月に公表した足立区江北地区に続き、年度内に足立区関原地区の実施方針を示す」ことを明らかにした。
今後急増する老朽化マンションの適正な管理も安全・安心なまちづくりには欠かせないと強調し、「有識者会議の取りまとめた制度の枠組みを踏まえ、適正管理を推進するための新たな条例案を19年第1回都議会定例会に提案する」と述べた。
さらに、豊かな自然や多彩な文化に触れられる憩いの場の創出も欠かせないと指摘し、「12月中に日比谷公園グランドデザインをまとめ、目指すべき将来像を明らかにする。東京のセントラルパークとしてさらなる魅力向上に取り組む」との方針を打ち出した。
提供:建通新聞社