福井県鉄筋協同組合(北川貞純理事長)は、職人の離職が進み、高齢化も一層深刻などと窮状を訴えている。
このほど開いた同組合の全体会議でも、事前に元請と発注機関に求めた「工期配慮の要望」内容を踏まえ、課題や改善点について意見交換し、共通認識を図った。福井市下六条町の県生活学習館で。
冒頭、北川理事長が挨拶。若年層の業界離れや技術継承も困難、職人数が15年前に比べ半減する一層厳しい鉄筋業界の現状を受け「会員で顔を合わせ率直に話し合い、情報を共有し、休日の確保や適正単価など働く環境の改善へ熱い思いを届けよう」と力強く呼び掛けた。
要望した福井県建設業協会(坂川進会長)や福井県建築工業会(見谷貞次会長)、発注者の県は一定の理解を示しているという。会員からは、休日の確保を優先する若者志向や、外国人の就労環境整備の難しさなど率直に意見を出し合った。
要望では、鉄筋業界の窮状がオリンピック特需から、新幹線工事の本格化で人手不足が益々深刻。地方の福井に人手を回す余裕は今後も見込めず、今まで組合員の相互扶助で対応してきた人員不足も、現状は難しい。今後に計画される着工の時期やスパンごとの工期では対応できない懸念が生じていると指摘する。
【工程配慮の要望】
■工期の十分な確保を。工程に余裕がなければ請負自体が厳しく、乗り込みの時期や現在進行中の工事を含め各スパンの工程において余裕をみてほしい。
■工程に日曜以外の全休をもうけてほしい。休日は当組合が規定する第4土曜日のほか、政府が推奨する働き方改革に伴う休日の確保などに向け、意欲的に盛り込んでほしい。
■生コンや鉄骨、型枠など他業種では、施工が間に合わない、人がいない、モノがないという理由で簡単に工期が延びているが、人員整理が難しくなるため、他業種の事情によって工程にしわ寄せが来ないように。
■相場や施工難度を考慮しない金額での発注は、予算のある現場や施工性の良い現場に職人を奪われ、請負体制や稼働人数面で不利になる要因に。発注時期の価格や工程に関しては、相場や施工性、協力業者の窮状を十分に考慮してほしい。