富山県建築士会青年委員会(山崎寛生委員長)は11月30日、「高校建築志の未来授業」を、富山工業高校で開いた。
建築業界の担い手・職人不足が深刻化する中、建築関連団体の青年建築志(建築士、大工・瓦工事等技能者の青年層)がタッグを組み、未来を担う建築科生徒に技術や知見、苦労などを伝えることで、建築への興味と関心を持ってもらえるよう初めて開催した。
この日は、建築工学科の1年生40名と主催団体の富山県建築士会青年委員会、共催団体である(1)富山県建築組合連合会(2)富山県瓦工事業協同組合(3)富山県板金工業組合(4)富山県左官事業協同組合(5)富山県建具協同組合(6)富山県インテリア事業協同組合―の各青年部メンバーらが参加。
開会式で松倉泉校長は「実際の作業に当たっておられる技を吸収できるよう、思う存分学んでほしい。貴重な時間となることを期待したい」、県建築士会の近江吉郎会長は「日本の高品質な建設生産システムは、職人の皆さんが支えている。職人が激減すると、我々の生活にも大きく影響する。建設業は魅力のある職業。皆さんの人生の選択肢の一つに加えてほしい」とあいさつした。
続いて、県建築士会青年委員会の長島修氏(長島木材代表取締役)が、建築士の志(心構え)などをテーマに講演。長島氏は、自社の家づくりのこだわりを説明した上で、「外国人の研修生が増えているが、仕送りの使命を背負って来日しており、すごく一生懸命。日本人は3年間で3割ぐらいしか続かない。皆さんも頑張らないと、将来は求人がないかも知れない」と指摘。
建築士の仕事については、「マネジメント業であり、一番必要なのは使う人のことを考える思いやりの心。家づくりで物凄く悩むお客さんもいるが、一生に一度だから楽しんでとアドバイスしている。考え方次第であり、皆さんも辛いことや理不尽なことがあっても、この先につながることと我慢して頑張ってほしい」と助言した。教訓として「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか。人のふり見て我がふりまねろ。仕事のやりがいを見つけること、の3点を挙げ、人は人でしか磨けない。成長してほしい」と力説した。
その後、生徒は6班に分かれ、希望した2つの職種を午前と午後にそれぞれ体験。このうち建築では木小屋組の製作、インテリアではクロスの張替、左官では土壁塗りを実際に行うなど、プロの指導を受けながら職人の技を学んだ。
主催者の山崎委員長は、「体験授業に選択肢を設けることで生徒の主体性が高まり、より興味・関心を引き出せる。この授業が生徒にとって、未来を想像し考えるきっかけづくりとなり、建築業界の未来へつながれば」と話している。