斜面防災対策技術協会富山支部(田中洋一郎支部長)と富山県測量設計業協会(榮知之会長)は29日、県庁に石井隆一知事を訪ね、予算増額や受注機会拡大などを求める要望活動を行った。
この日は、斜面協会から津嶋春秋理事(県地質調査業協会会長)、松島一敏理事、県測協から榮会長、市森友明・金木春男副会長、協会顧問の中川忠昭県議、坂田光文県参与らが参加。県側は石井知事、水口功土木部長、芝田聡農林水産部長らが出席した。
あいさつした津嶋理事は「世の中の景気は良いが、建設産業はアゲンストの風が吹き、事業量が落ち込んでいる。担い手確保は他産業との競争。将来の建設産業が立ち行くか重要な局面にある。予算と仕事量確保、平準化した発注をお願いしたい」、榮会長は「われわれの業界は県民の安心、安全を守るのが使命。担い手が不足し、産業間競争と同時に地域間競争もある。官民連携も視野に入れ検討していただきたい。担い手育成には健全な経営環境が不可欠。県内企業の受注量確保が必要であり、配慮をお願いしたい」と話した。
石井知事はまず、斜面協会の要望に回答。地すべり対策、斜面崩壊対策の予算増額を求めた点で知事は、「東京オリンピックの影響で、関東の工事が集中している。石井国交大臣に富山県を含め、北陸に光を当てるよう強く申し入れをしている」と理解を求めた。
「登録地すべり防止工事士」の積極的な活用を要請した件で知事は、「今年度から横穴水抜きボーリング工事において、資格条件として試行している」とし、協会が新たに求めた法面工事におけるアンカーが含まれる特殊工事での活用では、水口部長が「取り扱いは、今しばらく慎重に見極めたい」と述べた。
地すべり防止施設の長寿命化計画策定調査の実施と計画的な更新工事の実施を求めたのに対し知事は、「長寿命化工事でも引き続き活躍してほしい」と応じた。「立山・黒部」世界遺産文化遺産登録への支援に関し知事は、「ずいぶん良い所まできた。しっかり取り組むとともに皆さんもぜひ協力を」と求めた。
一方、県測協は、地域企業活性化に資する受注機会の拡大を要望。
石井知事は、「県内企業への発注率を高めることは総論として大賛成」と述べ、県外企業のみの指名が残る理由について水口部長は、「特殊な形式の橋梁、関係機関との協議が必要な海岸保全施設など、高度な技術力を要する設計では県外のみの入札が残ることは理解いただきたい。高度な技術力が必要な業務のうち、マニュアルが確立されている橋梁、法面などは県内企業も指名に入るよう取り組んでいる」と説明。石井知事は「だいぶん前進した。これからも努力する」と話した。
顧問の中川県議は「総額を増やす必要がある。知事と市町村長にもそういう運動をしてもらいたい」と要請した。