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建設経済新聞社
2018/11/19

【京都】一部地域で高さ規制の緩和 新景観検討委に方向性示す

 京都市は15日、一部地域で建築物の高さ規制の緩和などを盛り込んだ新景観政策の更なる進化の方向性について、有識者等の検討委員会に示した。
 新景観政策の更なる進化検討委員会(委員長・門内輝之京都大学名誉教授)に示した見直し案によると、広域拠点エリアの高さ規制の方向性は、JR丹波口駅や京都リサーチパークにも近接し、道路拡幅整備が完了した五条通沿道(JR丹波口駅〜西大路通)において、一定の敷地規模を有し、五条通の沿道の緑化等に貢献する建築物は、高さ規制の上限を別に設定する。
 ものづくり産業集積エリアの高さ規制の方向性は、四条通以南の工業地域や工業専用地域工場に指定されている「20m第5種高度地区」において、ものづくり産業の集積や工業等の利便の増進を図るため、店舗や保育所等を併設した工場、事務所など31mまで建築可能な用途の追加を検討する。
 高さ規制の特例許可制度も見直し、名称を変更する。
 (ルート1)許可制度から認定制度へ移行
 軽微なものは市長による認定制度に移行し、手続き等を簡素化する。歴史遺産型美観地区でのこう配屋根緩和(+3mまで)や既存不適格建築物への増築等。
 (ルート2)許可の対象拡大と一定の許可の上限(第2ライン)の設定
 「地域のまちづくりに貢献する計画」等を許可対象に追加。景観上許容できる地域では、ガイドラインにおいて許可の上限として第2ラインや、地域ごとの誘導したい都市機能を明示する。
 なお第2ラインの設定については、▽眺望景観等への配慮が必要な出町柳駅周辺では設定しない▽御池通沿道(河原町通〜堀川通)では低層階において魅力的なにぎわいを誘導するための調整幅としてプラス3〜5m程度▽竹田駅周辺やJR以南の山科駅周辺、太秦天神川駅周辺等では地域の魅力や拠点性を高める施設を対象に、一定規模の上限を設定する考え。
 (ルート3)立地や計画を個別に吟味(従来型を発展)
 許可対象を具体化・拡充するなど、従来型より分かりやすく、かつ、使いやすくする。ルート2の条件を満たさない場合であっても、ルート3の適用は可能。
 このほか、デザイン規制についても見直し案を示した。
 景観地区(美観地区・美観形成地区)での認定は年間2000件程度あるが、美観風致審議会での審議を経た特例認定の実績は年間0〜3件となっている。
 現行制度は、羈束性の高い一般基準の運用、時間的・労力的にハードルの高い特例認定の2ルートしかないため、デザインの創造性を引き出す新たな仕組みとして、第3のルートを検討する考え。
 新景観政策の見直し案は、来年1月〜2月頃のパブリックコメントを経て、3月末頃に市長に答申する。