神奈川県横浜川崎治水事務所川崎治水センターは、河川改修工事矢上川地下調節池事業で、トンネル縦断設計の検証作業を行う。川崎縦断鉄道計画(市営地下鉄)を踏まえた現在の在り方を見直し、修正設計を行うもの。建設技術研究所(東京都中央区)が2019年3月29日を履行期限として業務を担う。トンネル部の工事は20〜23年度に行われる見通しだ。
矢上川の河川改修事業(川崎市高津区子母口地先他)は、江川合流点から川崎市宮前区梶ケ谷地先までの4・13`と、支川・有馬川の流入施設0・19`を合わせた4・32`が対象。
時間雨量おおむね60_の降雨に対応するため、矢上川と市道尻手黒川道路などの地下空間を活用し、トンネル式の地下調節池(トンネル延長約4`、内径7・9b、貯水容量19万4000立方b)を設ける計画だ。トンネルはシールド工法により整備する。
09年度に事業化し、16年度末に中間立坑本体工事が完成。翌17年度に発進立坑本体工事を開始し、19年度末の完成を予定している。事業進捗率は18・2%(用地取得率100%)。
現在のトンネルの縦断線形は、川崎縦断鉄道計画を考慮して決定したもの。しかし、今年3月に鉄道計画が正式に廃止されたため、縦断線形の見直し・検証を行うことになった。
建設技術研究所に委託した業務は、過年度に設計した排気立坑位置を反映したトンネル線形の修正、現場条件の変更による関連箇所の修正、トンネル工の発注に向けての設計資料作成などを目的としている。
具体的にはまず、縦断線形を検証。地下鉄の影響を無視した縦断線形案(1、2案程度)を提示してもらい、これを踏まえた概算工事費(線形変更による事業費変動額や中間立坑の補強費、地盤改良など仮設費)の算出、設計図作成を行ってもらう。その上で、変更案と現行の基本案をコスト比較する。
修正設計では、シールド施工計画、到達防護工(中間立坑)、設計図、数量計算についてそれぞれ修正することにしている。
矢上川の河川改修事業は、県土整備局の18年度事業評価対象の一つ。10月開催の公共事業評価委員会で「継続が妥当」とされた。そのときに局が示した今後のスケジュールによると、トンネル部の工事着手は20年度で、排気立坑を含め、23年度に完了させる。発進立坑部については19年度に本体工事を完了。21〜25年度に流入施設工事などを行うことにしている。
提供:建通新聞社