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建通新聞社(神奈川)
2018/11/14

【神奈川】JR東逗子駅前用地活用 商業施設は困難

 逗子市は、JR東逗子駅前用地活用に向けたサウンディング型市場調査の結果を公表した。対話を行った8事業者からは、事業性が見込める民間施設部分の活用方法として、@住宅A複合型地域包括ケア拠点B商業施設(1階部分のみ)―の提案があった。ただ、大半の事業者からは、JR東逗子駅の運行本数、乗降客数、駅周辺の人通りなどから、商業施設としての活用は難しいとの意見が出された。また事業手法についてはPFI(BTO)方式や定期借地方式での対応が可能という意見がある一方で、事業規模からPFI方式ではメリットが見込めないという意見もあった。この他、施設内容によっては駐車場の確保が大きな課題になると指摘された。市では、これらの意見を参考に具体的な事業手法や公募条件などの検討を進める。
 「JR東逗子駅前用地活用事業」は、東逗子駅前にある旧国鉄清算事業団用地(沼間1ノ1485ノ5、1821平方b)に公共施設と民間施設を併設した複合施設を整備し、公共施設の再配置・統廃合を行うとともに、駅周辺の快適性、利便性の向上と地域の活性化を図ろうというもの。同事業への民間活力導入を検討するに当たって、実現性の高い事業方法や民間施設部分の活用アイデアなどを民間事業者から提案を募り、「対話」を通じて事業条件などを把握するためにサウンディング型市場調査を実施した。
 対話に参加した事業者は、建設関係事業者が4者、金融事業者が2者、施設運営事業者が1者、施設運営などグループ事業者が1者、合計8事業者。
 住宅事業については「ニーズが見込める」「賃貸でも分譲でも事業性が見込める」「民間施設部分を子育て世帯向けや高齢者向けの住宅とすれば、全体事業費を圧縮できるスキームが成立する見込みあり」という意見があったが、一方で「電車の本数などから住宅としての利用は難しい」「定期借地権付きマンションは事業として成立しない」との指摘もあった。
 官民連携による「複合型地域包括ケア拠点」の整備については、▽子育て世帯向け賃貸住宅▽サービス付き高齢者向け住宅(自立型、介護型)▽児童発達支援・放課後等デイサービス、訪問看護・介護施設▽保育所▽学習塾など―を想定した提案があった。
 商業施設については、「収益性の観点から活用が難しい」「駅の乗降客数、駅周辺の人通りの様子や店舗の状況から、商業施設としての活用は難しい」「生活利便施設(スーパーマーケット、コンビニ、ドラッグストア)はすでにあるため、同様の施設の参入は可能性が低い」と、一様に否定的な見方で、可能としても「活用できるのは1階部分のみ」とする意見だった。
 事業手法については意見が二つに割れた。「定期借地方式およびPFI方式(BTO)いずれでも実現可能」「PFI方式(BTOサービス購入型)と小規模な民間施設であれば、実現可能性はある」「定期借地方式により実現可能」とする見方があった一方で、「民間が建物を所有することを前提とした事業スキームは難しい」「事業規模からPFI方式は適さない」など、事業規模に比べて資金調達コスト、SPC設立費用、コンサルティング費用などを考えるとメリットが見込めないとする意見も多かった。
 民間施設については、飲食店、カフェ、フィットネスクラブ、子育て関連施設など多くの考えられるものの、「事業性を考えると住居(子育て世帯向けや高齢者向け)での利用が現実的」と指摘された。
 逗子市では、同事業について、2019年度に基本計画を策定するとともに、事業者選定の準備を進め、20年度に事業者を選定。21年度から22年度で実施設計、整備工事を行い、23年度から供用開始することを想定している。

提供:建通新聞社