日本工業経済新聞社(茨城)
2018/11/08
【茨城】県議会土木企業委員会が提言/地域振興やイメージアップを
県議会土木企業委員会(下路健次郎委員長)は7日、「地域振興とイメージアップに必要な社会資本整備〜誇りある郷土・交流人口の拡大につながる県土づくり〜」に関する提言をまとめ、県企業局および土木部に対し提出した。道路交通に高く依存している本県の現状と課題を踏まえ、広域交通ネットワークの整備や利便性向上のための道路整備、IC周辺開発事業の整備推進など、目指すべき方向性と展開すべき今後の施策について提言している。
同委員会は「地域振興とイメージアップに必要な社会資本整備」と重点審査テーマに掲げ、閉会中委員会における審査や県内外調査などを行い、社会資本整備のあり方や公共施設の魅力向上などに関し、今後取り組むべき方策を検討。
提言では、これまでの審査過程において委員から出された意見などを踏まえ、本県が取り組むべき施策などをまとめている。
このうち広域交通ネットワークの整備では、圏央道の早期4車線化、東関道水戸線の早期全線開通、休憩施設(SA、PA)の早期設置など、高速道路の整備推進を提言。
利便性向上のための道路整備については、渋滞解消のための交差点改良、道の駅に対する整備支援を指摘。
また、「本県の道路舗装の維持管理費用は全国第2位の道路延長に比して不十分」とし、舗装や補修、路肩の除草、植栽の剪定といった日常的な維持管理に努めることを求めている。
地域資源を活かしたまちづくりでは、地域特性を活かしたIC周辺地域の土地区画整理事業の推進、都市再生整備計画事業や街なみ環境整備事業などを活用したまちづくりなどを提言している。
にぎわいある都市公園の整備については、公園施設長寿命化計画に基づく適切な維持管理の実施、老朽化施設の計画的な修繕・更新、防災施設としての機能強化を提示。
さらに園路のバリアフリー化、トイレの洋式化、Wi―Fi等の情報通信環境の整備などを行い、本県のイメージアップにつなげていくべきとしている。
提言の主な内容は次のとおり。
【観光地などの連携や企業誘致を支える基盤整備とその活用】
(1)広域交通ネットワークの整備
・高速道路については、広域的な交流の拡大や企業誘致のため、国や東日本高速道路鰍ニ連携し、圏央道の早期4車線化、東関道水戸線の早期全線開通、休憩施設(SA、PA)の早期設置を推進し、利便性向上を図ること。
・直轄国道については、広域交通ネットワークとしての機能を強化するため、国と連携し、現在事業中の箇所の整備促進、未事業箇所の早期事業化を図ること。
・港湾については、首都圏のゲートウェイとなる茨城港・鹿島港の機能を強化し、企業立地やクルーズ船の誘致等を推進すること。
・広域交通ネットワークを補完するアクセス道路については、圏央道ICへのアクセス強化、観光拠点へのアクセス強化、港湾・空港などへの交通拠点へのアクセス強化を推進し、観光振興や物流の活性化を図ること。
・国の補助事業や道路公社による有料道路事業など、多様な整備手法を活用し、道路整備を推進すること。
(2)利便性向上のための道路整備
・観光地の魅力向上や産業の振興のため、交通ビッグデータなどを活用して渋滞箇所の要因分析などを行い、交通状況を適切に把握し、交差点の改良や迂回案内等の情報発信など、ハード・ソフト両面から、スピード感をもった効果的な交通円滑化対策を推進すること。
・道路利用者のニーズを踏まえ、分かりやすい案内誘導、「道の駅」に対する整備支援や高速道路からも利用しやすい環境整備などを図り、快適な道路環境づくりを着実に推進すること。
・道路は日常生活を支える上で不可欠な社会基盤であることから、道路パトロール等により舗装の穴ぼこ補修、路肩の除草や植栽の剪定などを実施し、日常的な維持管理に努めること。また、市町村と連携し、歩道のバリアフリー化を推進し、利用者が円滑かつ安全に通行できる道路環境の構築を目指すこと。
・道路の維持管理は、利用者の円滑かつ安全な通行に必要不可欠であるだけでなく、来県者にとって本県のイメージアップにも大きく影響するものであるが、本県の道路舗装の維持管理費用は全国第2位の道路延長に比して不十分と考えられる。森林湖沼環境税のように、県民から一定額の負担をしてもらうなどの新たな財源の検討を進めること。
【地域の魅力を向上させる取り組み】
(1)地域資源を活かしたまちづくり
・地域再生整備計画事業、街なみ環境整備事業、かわまちづくり支援制度など、さまざまな整備手法を用いて、豊富な地域資源(景観、歴史、文化、自然など)を活用したまちづくりを推進すること。
・圏央道など高速道路の整備により、IC周辺地域における企業進出が増加傾向にあることから、地域特性を活かしたIC周辺地域の土地区画整理事業などを推進すること。
(2)にぎわいある都市公園の整備
・安全で快適な施設利用を目指し、公園施設長寿命化計画に基づく適切な維持管理を実施するとともに、老朽化施設は計画的に修繕・更新を行い、更新の際は防災施設としての機能強化を図ること。
・ユニバーサルデザインの考え方を踏まえ、園路のバリアフリー化、トイレの洋式化、案内表示の多言語化、Wi―Fi等の情報通信環境の整備等を進めるとともに、公園内の休憩・案内施設にビジターセンターとして役割を持たせ、観光マイスターを活用するなどの機能強化を図り、本県のイメージアップにつなげていくこと。
(3)安全でおいしい水の安定的な供給とその啓発活動
・安全でおいしい水をより効率的に供給するため、これまでの高度浄化処理施設を継続して適切に運用するとともに、霞ヶ浦浄水場では国内初の新しい高度浄水処理技術を早期に導入すること。
・水道施設の耐震化および老朽化対策については、中長期的な財政収支を見据えながら、計画期間内の完了を目指し事業を進めること。
・関係部局や市町村との連携を強化しながら、積極的に水道普及啓発活動に取り組み、生活に欠くことのできない水道の重要性について、より多くの県民に周知するとともに理解を深めていただくことにより、水道普及の促進につなげていくこと。