新ホールの建設候補地を文化センター敷地とし、整備可能性を検討する「市新ホール整備検討会議」(会長・山中英生徳島大学大学院教授)は、5日に第4回会合を開き、同地に整備する新ホールの席数等の規模や機能などを固めた。大ホールの席数は1200席以上を確保し、小ホールを犠牲にしてでもできるだけ1500席に近づけた席数となるよう求める他、できるだけ早く管理運営方法を議論し、早期開館を目指すよう促す考え。当日の意見は山中会長一任の下整理され、「まとめ案(山中会長)」として市に提出される。市はこれを受け、整備方針を策定し12月市議会定例会へ報告する。
当日市は、これまでの4案から委員の意見などを踏まえ、▽市民の創造、発表、鑑賞の場としてのホールとして、大ホール1200席程度、小ホール300席程度、リハーサル室(1階)、会議室2部屋などを設ける案(修正案1)▽大規模な発表、鑑賞の場としてのホールとして、小ホールは設けず、大ホール1200席+α、リハーサル室(地下1階)、活動室3室などを設ける案(修正案2)−の修正案2案を新たに提出、意見を求めた。
修正案1は地下2階地上4階建て延べ約8300平方bの規模で、建設工事費(税込み、設計費含む)は76・2億円程度。1階に大ホールと舞台(幅18b×奥行16・7b×高さ12bと両翼に幅9bの舞台袖)とリハーサル室(幅17・7b×奥行9b×高さ4b)、楽屋、ロビー・ホワイエなどを配置し、小ホールは地下に設ける。2階の会議室の確保でリハーサル室の天井高が4bに制約されるなど、十分なリハーサル室は確保できない点もあるが、必要な機能は全て盛り込んだ案。
一方、修正案2は地下1階地上4階建て延べ約8800平方bの規模で、建設工事費は79・8億円程度とする案。大ホールで1500席に近い席数が確保できるものの、小ホールは確保できず、また、リハーサル室(天井高は6bを確保)も同一階に設けられない案。
委員からは、「両案ともよく考えられている」と評価する意見があったものの、敷地面積や法規制などによる空間的制約の中では決して十分とはいえない案だけに、決め手を欠いた恰好。ただ、ホール整備の基本理念「市民の芸術文化の創造拠点」の考えから「次代の人材育成を図る上でも1500席は必要」という意見、「中途半端な小ホールなら不要。別地、例えば中央公民館の更新の中で求めていけばよい」といった意見などに大半が傾き、最終的に山中会長が「まずは1200席、できるだけ1500席近くを確保し、リハーサル室を同一平面にする。この二つを確保してほしい」といった意見に整理した。
山中会長はこの他、「小ホールについてもできれば質を上げ確保してほしい」とした他、三者(出演者、スタッフ、観客)の動線の確保、費用の精査も必要とした。さらに事業手法については「デザインビルド(DB)など2023年度末開館が可能な手法を検討するべき」とした他「できるだけ早く管理運営方法も議論する必要がある」とし、遅くても設計段階から協議できる体制の必要性も示唆した。
提供:建通新聞社