18年秋の叙勲で、元新潟県公安委員会委員長の小熊廸義氏(上越市)が警察管理運営功労による旭日小綬章を受章した。08年から9年間委員を務め、うち2年間委員長の重職を担った。
当時を振り返り、「県民に直接影響が及ぶような決定を自らの名前で行う。責任が重く、プレッシャーはそれまで経験したことがないもの。社長職と並行しての生活は本当に大変だった。協力してくれた妻と社員にはとても感謝している」と語る。
公安委員会は警察の民主的な管理と政治的中立性を確保するための機関。東光クリエート代表取締役として、経済人の視点から警察に対する提案・提言を請われた。「委員就任を打診された時は、かなり迷って考えた」という。自分にできることは何かと自問自答しながら、就任したからには上越の代表として恥ずかしい姿を見せたくないと、懸命に任務に励んだ。何度も新潟と上越を往復し、冬には大雪による立ち往生でトンネルの中で何時間も過ごしたこともあった。
在任中の忘れられない出来事は、11年11月に東日本大震災の被災地を視察したこと。災害の規模に驚きながら、気仙沼市に派遣されていた特別交通派遣部隊が過酷な環境下で必死に活動する様子を目の当たりにし、改めて警察の存在意義を再確認したと語る。
13年には社長を務めていた同社の株式をセコムに譲渡し、子会社となることを決断。「複数の選択肢があったが、これが会社の将来のため最もふさわしいと判断した」と振り返る。公安委員会の仕事も重なり、最もつらい時期だったという。現在は同社会長として経営を見守る立場。人材不足など業界全体が抱える問題を熱く語り、今もなお先を見続ける。
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おぐま・みちよし 47年10月生まれ。71歳。東光クリエート会長、公益社団法人高田法人会会長、上越商工会議所副会頭。座右の銘は「不易流行」。