北海道建設新聞社
2018/11/05
【北海道】遠軽町「いわね大橋」本復旧へ 橋脚1基新設、桁は再利用
ことし7月に発生した豪雨で、上部がV字に折れ曲がった遠軽町内の道道遠軽芭露線いわね大橋。車両通行が規制されてから間もなく4カ月となるが、公共土木施設災の12次査定で復旧額が決定し、道建設部による早期復旧に向けた準備が着々と進んでいる。これから始まる本復旧工事では、橋脚1基を新設する計画だが、上部については橋桁を再利用する予定だ。
同橋は1980年に架設した橋長336・6m、幅員9・9mの鋼橋。下部は逆T式橋台2基と、壁式橋脚9本となっている。橋脚のうち1本が大雨の影響で沈下したことで、上部がV字に折れ曲がった。
本復旧工事は延長69・4mで、幅員9m。護床594m²を施した上で橋脚1基を新設し、応急工事の段階で取り外した橋桁を橋脚完成後に再設置し床版を施工する。橋脚は、現橋と同じ壁式橋脚となる。災害査定では復旧費として約8億円が認められた。詳細設計は北海道土木設計が進めた。
橋脚沈下の原因について、現地調査した北見工大の複合型豪雨災害研究ユニットのメンバーである渡辺康玄副学長は、砂州の位置が変化したことを挙げている。砂州位置の変化によって、橋脚に対して広い面積で衝撃が加わったと分析。行き場がなくなった水で洗掘が進行したという解釈だ。
同橋は、遠軽町東町や南町など住宅地が広がる地区と、JR遠軽駅前の中心部とを最短で接続する。駅や病院、スーパーなどにアクセスする際に利用する重要な橋梁で、上下水道管も通っている。町民は被災以来、迂回路の利用を余儀なくされている。
網走建管は被災後、河川水位が下がった7月19日から応急工事を渡辺組(遠軽)が進めている。状況の悪化を防ぐために沈下した橋脚周囲に保護ブロックを整備し、桁を支える支保工によって沈下した橋脚を除去した。上部は床版を取り壊し、2径間分の桁も一時撤去する。