東京都建設局と環境局は2018〜27年度の10カ年を期間とする「第2次ズーストック計画」を策定した。両局が所管する動物園や植物園など5園を対象に、保存対象種を大幅に拡大して計画的な繁殖と種の適正管理を推進するとともに、5園が培ってきた技術や経験を生かしながら野生動物の保全に努める。この計画に基づき各園が今後、既存施設の再整備や新たな施設整備の必要性などを検討する。
1989年に策定した現行計画では、動物園に必要な動物は可能な限り動物園などで繁殖したものを展示すべき、との考え方の下、優先的に希少種の繁殖に取り組んできた。ニシゴリラの群れ展示による繁殖や、コウノトリの繁殖技術の確立など、対象50種のうち38種で繁殖に成功している。恩賜上野動物園の両生爬虫(はちゅう)類館や多摩動物公園のレッサーパンダ舎など飼育繁殖施設の整備もほぼ完了した。
一方、野生生物が減少し法規制強化や動物福祉などが進み、動物の入手が一層困難になっている。生物多様性保全への関心の高まりとともに動物園への期待も高まっている。
こうしたことを背景に、新たな計画は「野生生物を守り伝えるために」をテーマとし、保存すべき種を50から124(36種を継続し88種を追加)に拡大して繁殖を強化する。また、生息地域外での保全(域外保全)とともに生息地域内での保全(域内保全)も位置付けて野生生物を保全していく。さらに、野生生物や地球環境の保全の必要性が高まっていることを受け、動物園での環境教育や普及啓発の取り組みを強化する。
新たな計画では施設整備に関する考え方を示していないが、対象である恩賜上野動物園と多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園、環境局所管の5園がそれぞれ、同計画に沿った種の保存などを進める上で、既存施設の再整備や新たな施設整備の必要性を検討する。
提供:建通新聞社