滋賀県は、「仮称・彦根総合運動公園第1種陸上競技場」の整備事業について、来年度上期に建築工事の一般競争入札を公告し、落札者決定後に9月県議会での承認を経て契約締結し、10月ごろの着工を見込んでいる。22年度中に竣工し、23年度の供用開始を目指す。現在進めている実施設計業務の段階からは県土木交通部が県民生活部スポーツ局に代わり担当しており、工事発注も同部監理課が担当する。
基本設計時点での規模は、RC一部S造5階建(バックスタンドは2階建、最高の高さは24b程度)、延2万1500平方b。メインスタンドの席数は7000席程度で、合計1万5000人を収容する。
トラックは400b×9レーンの全天候型舗装。フィールドは106×69bの天然芝とし、サッカーやラグビーなど多目的な利用に対応する。
スタンドを2層構造にすることで建物の幅を縮小させ、競技場のコンパクト化を図る。また、観客席を上下2段に分けることでよりフィールドに近づき、臨場感の高い観戦が可能になる。
意匠面では、伝統的な真壁造や下見板張り風のデザインを取り入れるほか、かつて松原内湖にあった百間橋をモチーフに連続で樽形状に構成する柱と梁を採用。城下町の景観と調和した落ち着きのある色調とする。
また、地震発生時には防災拠点として機能するよう耐震性能を確保し、自家発電装置も設置。遮光・防音壁により近隣への住環境負荷低減を図る。
諸室配置は、1階にエントランスホール、更衣室、会議室、事務室、情報処理室、記者室、記者会見室、ドーピング検査室、器具庫、雨天走路、トレーニング室など。2階に倉庫、売店、コンコースなど。3階に観覧席、倉庫、コンコースなど。4階に貴賓室、観覧席、コンコースなど。5階に放送室、写真判定室、指定室、大型映像装置操作室など。
施工にあたって問題となる軟弱地盤対策については、スタンド部分には35b程度の基礎杭を打ち込み、フィールド部分には「セメント系硬化剤により原地盤の表層部分を固化させる表層混合工」と「セメント系硬化剤と原地盤の軟弱土を撹拌・混合し柱状に固化させる深層混合処理工」を組み合わせた工法を採用する。
実施設計業務の担当者は、基本設計業務を担当した佐藤総合計画関西事務所(大阪市中央区)と今年2月28日に1億3400万円で契約)し、引き続き今年度末の完了を目指して作業中。
(仮称)彦根総合運動公園に係る概算事業費は、競技場整備に106億円程度、公園整備費ほかで94億円程度の計200億円程度を見込む。
なお、一部用地買収が遅れていることから、基盤工事などの公園等整備の工期は流動的だが、第1種陸上競技場の建築工事については予定通りの工程となる模様だ。
提供:滋賀産業新聞