全国特定法面保護協会北陸地方支部富山部会は10月30日、「老朽法面の維持管理技術」講習会を富山市の県民会館で開催した。
講習会には富山県や国土交通省、建設コンサルタントの技術者ら約60人が参加し、老朽モルタル吹付法面の補修・補強対策に向けた工法、技術などを学んだ。はじめに堀武夫支部長が「協会は法面に関する専門的知識を生かした設計・施工を発注機関に提案しているほか、施工管理技術者やノズルマン技能の資格認定を実施し、技術・技能の両面からバックアップを進めている。北陸支部では16年に北陸地方整備局と災害協定を締結した。こうした活動を含め、認知度を上げていくために技術講習会や出前講座などを行っている」とあいさつした。
講習では、黒柳啓協会技術委員が「法面技術の現状および老朽法面の調査診断」をテーマに、法面の維持管理・点検、老朽モルタルの調査、対策工の選定などを説明。モルタル吹付法面の老朽化が問題になっているとし、「モルタル自体、地山とモルタルの密着性、背面地山の3つに分かれて調査項目がある」と述べた。ハンマ打診や熱赤外線映像法、コア抜き調査、ハツリ調査、コアボーリング、貫入調査などの老朽化調査について、作業のポイントを挙げながら詳細に説いた。
引き続き、岡部の高平大司氏は「富山県内法面補修事例概要」として既設モルタル吹付をはつり取らない法面補修・補強技術を施工事例で紹介し、「安全性が高く、廃棄物が大幅に削減できる」と強調した。坂登富山部会技術委員による「既設法面の補修補強技術」では、「最近の補修法面は、古くなったモルタルを取り壊すことなく、繊維吹付工などでリフレッシュさせる工法」と指摘した上で、増厚タイプの▽標準型▽標準型+空隙充填工▽アンカーボルト仕様▽アンカーボルト仕様+空隙充填工▽地盤補強型―の各内容を説明。樹脂吹付タイプについても施工手順など解説した。
最後に岡部竜一富山部会長が「既設モルタルを残した補修工法のタイプを選ぶには、調査、判断が重要になる。経験豊富な会員に相談いただければ、お手伝いできる。会員であると同時に地域の建設会社であり、常日ごろ地域の安全・安心に関して誇りを持って活動している」と閉会あいさつした。