高知県教育委員会は、今後の県立高校の在り方と方向性を示した再編振興計画のうち、2019年度から23年度までの5カ年で進める後期実施計画案をまとめた。このうち、南海トラフ地震への対応として、安芸中・高校と安芸桜ケ丘高校を統合し、安芸桜ケ丘高校の敷地に統合後の学校を設置することや清水高校の高台移転などが盛り込まれている。今後、パブリックコメントで意見を取り込んだ後、最終の実施計画を示す。
安芸中・高校と安芸桜ケ丘高校(ともに安芸市)は22年度に統合に向けた学科再編を行い、23年度の統合完了を目指す。東部地域の生徒数が減少していることに加え、現在の安芸中・高校の校舎が海岸に面しており、津波被害で長期浸水することが予測されるため、統合後の併設型中高一貫教育校を安芸桜ケ丘高校の敷地に設置する。ハード面については、安芸桜ケ丘高校の普通教室となる校舎と体育館を津波対策を踏まえた施設に改築し、必要な実習棟などの改修や設備の更新も進める方針。
清水高校(土佐清水市)は海岸に面しており津波浸水のリスクが高いことから、清水中学校近くの高台に移転し、新校舎を建設する。今後、用地取得や必要な施設整備を検討し23年度をめどに移転を進める方針。清水中学校と連携型中高一貫教育を発展させる。体育館やグラウンドはできるだけ清水中と共用する考え。
この他の学校では、高知海洋高校(土佐市宇佐町)で、津波への対応のため一部の学校施設などを適地に移転する可能性を含め、将来的な学校の在り方を検討する。校舎は学科の特性から海沿いに構える必要があるため、避難場所の確実な確保や避難路の安全確保を進める方針。
宿毛高校(宿毛市)も津波浸水被害が想定される地域にあるため、一部の学校施設の移転の可能性を含め、将来の学校の在り方を検討する。19年度から学校、地元自治体、地域住民らとの協議の場を設け、移転する場合の範囲や移転の方法、候補地などを話し合う方針。
なお14〜18年度の前期実施計画では、高知南中・高校と高知西高校を統合、高知西高校の敷地に高知国際中・高校を設置し、須崎高校と須崎工業高校を統合、須崎工業高校の敷地に須崎総合高校を設置することを示した。校舎などの新築・改修を順次進めている。
提供:建通新聞社