滋賀県下水道審議会(会長・松井三郎京都大学名誉教授)が25日に開かれ、琵琶湖流域別下水道整備総合計画見直し(計画期間31〜57年度)の今年度策定へ向けて最終の審議を行った。水質の汚濁負荷削減対策では、現行の高度処理を継続するとともに、@農業集落排水161施設の下水道への統合A約560の工場・事業場の下水道接続B供用区域の下水道未接続解消−の対策を答申案に盛り込むことを決めた。11月までに答申し、パブリックコメント等を経て、31年3月に県が計画策定する予定。
県が実証施設で調査した超高度処理(オゾン処理+生物活性炭処理)は、建設費360億円、維持管理費313億円(処理施設耐用年数の33年間)と多額を要するのに対して、水質改善効果が現行の高度処理とほとんど差がないことがわかり、この日の会議では、オゾン処理+生物活性炭処理の超高度処理は事業化せず、より有効な超高度処理技術が新たに出てきた場合、今後判断することとした。
3つの汚濁負荷削減対策のうち、農業集落排水の下水道統合では、処理施設の平均耐用年数33年間に必要となる費用は、▽接続管渠−建設費67・3億円、維持管理費148・5億円▽下水処理場−建設費42・2億円、維持管理費36・3億円−の合計294・3億円。削減負荷量はCOD約25s/日。
工場・事業場の下水道管渠までの取付管建設費用は工場・事業場の負担。未接続の約560の工場・事業場が接続した場合、削減負荷量はCOD約1300s/日で3つの対策のなかで効果が最も大きい。
供用区域の下水道接続も取付管の建設費用は住民の負担。下水道接続率92・6%(26年度)を100%に向上した場合、削減負荷量はCOD約780s/日。
工場・事業場の下水道接続、供用区域の下水道接続の進捗は、それぞれ事業者、住民によることから、計画では「努力目標」となる。
会議では特に工場・事業場の下水道接続に関して、滋賀県の野ア信宏滋賀県琵琶湖環境部技監は「計画の肝となる。市町と協議し方法を検討したい」とし、委員からは、滋賀県市長会の宮本和宏委員(守山市長)は「例えば10年以内に接続するといった条例が必要だ」との意見を述べた。