京都市は24日、京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略の素案をまとめた。
同戦略は、まちづくりの方向性を示す指針であると同時に、京都刑務所敷地の有効活用の検討を国に促すための提案書と位置付け。今後、パブリックコメントなどを経て、来年2月頃にまちづくり戦略として策定する。
素案によると「山科駅前エリア」「山科団地エリア」「新十条通沿道エリア」「山科区東南部エリア」「京都刑務所周辺エリア」の5つのエリアを設定。各エリアの方向性を示した。
山科駅前エリアは京都の東の賑わい拠点として駅周辺をより一層活性化するための方策を検討する。具体的な取組例として、駅周辺の商業施設について、駅利用者、とりわけ若年層を含む幅広い層をひきつけ、回遊性を高め、滞在時間を増やすような店舗構成の検討を挙げた。
山科団地エリアは子育て世帯を呼び込むとともに、大学との連携や学生との交流による活性化、コミュニティ強化を図るための方策を検討する。具体的な取組例として、子育て世帯優先入居枠の拡充の検討、市営住宅の入居者や公社分譲住宅の居住者を対象とした見回りや居場所づくり等の取組の検討を挙げた。
新十条通沿道エリアは山科の活性化・賑わいの創出、転入人口の増加を図るため、沿道エリアの有効活用を促進する方策を検討する。具体的な取組例として、沿道エリアについて、新十条通の無料化後の状況等を踏まえ、定住の受け皿となる宅地や、産業集積を図るための産業用地の創出など、有効活用に向けた方策の検討、交通量増加への対応の検討を挙げた。
山科区東南部エリアは山科の活性化・賑わいの創出、転入人口の増加、企業誘致による雇用創出を図るため、この地域のまちづくりのあり方を検討する。具体的な取組例として、都市基盤整備状況や現在の土地利用を踏まえ、地域のまちづくりのあり方の検討を挙げた。
京都刑務所周辺エリアは山科の活性化の起爆剤として、更には市の将来の持続的な発展、国策としての地方創生の観点から、まちづくりの方向性に沿って京都刑務所敷地の活用策を検討する。望ましい導入機能として[居住]子育て世代から高齢者まで、あらゆる世代が住みよい、安心・安全で住宅地としてのイメージアップにつながる良好な居住環境を備えたまち、[新産業、働く場]世界最先端の研究開発を行う企業誘致・産業集積を図り、安定した所得と新たな雇用を生み出し、定住者を呼び込むとともに、地域経済の成長を牽引し、好循環を実現するまち、[学び、交流]学生、区民が学び、集い、交流する場となり、教育・生涯学習環境の向上にもつながる大学等の教育施設が立地するまち、[文化・ものづくり・観光]伝統産業等の資源を活かした文化・ものづくりの体験・発信・交流拠点を備えた新たな魅力を創造するまちを挙げた。
京都刑務所の活用案(導入機能・施設の展開例)については、敷地が約10万7000uと広大であることや複合的な活用で相乗効果が期待できるため、単一の機能・施設での活用ではなく複数の機能・施設を融合した活用が望ましいとした。例として良質な住宅、商業施設、防災機能を備えたオープンスペース、文化・ものづくりの体験・交流・発信施設、大学等の教育施設、研究機関・企業、福祉・子育て支援施設などを示した。
戦略の推進にあたり、まちづくりの方向性は行政が主として取り組むものもあるが、とりわけ広大な京都刑務所敷地の活用は、民間による活用が基本とし、その実現に向けて国の理解を得ながら進めていく必要があるとした。
また敷地活用にあたっては、道路などの交通基盤のあり方や周辺環境との調和等についても慎重に検討する必要があるとした。