東京都総務局は、小笠原諸島への航空路開設に向けた基本計画調査業務を日本空港コンサルタンツ(中央区)で開始した。小笠原航空路協議会の中で示した、自然環境への影響を極力抑えた延長約1000bの滑走路整備を視野に入れながら、父島の洲崎東端に滑走路を整備する案と、水上飛行艇の着水帯を整備する案の比較検討するための基礎資料を作成し、航空路に適した飛行方式・飛行経路などを検討して実現性の高い案を絞り込む考えだ。
都は小笠原諸島に航空路を開設するため2017年7月、小笠原村との協議会を7年ぶりに開き、父島の国立公園や世界遺産区域に該当しない洲崎地区に、延長1200bの滑走路を整備することを軸に検討を進める方針を説明。今年7月の協議会では、自然環境に配慮して滑走路延長を1000b以下に短くする形で実現に向けた検討を行うことを確認した。
今回委託した業務では、この案を軸に、より実現可能性の高い案を絞り込んでいくため、「洲崎東端案」と「水上飛行艇案」の2案について、それぞれ複数の整備案を想定し、事業費や工期を検討する。
洲崎東端案では、桟橋形式と橋梁形式の滑走路長3ケース、滑走路標高2ケースの全6ケースの事業費と工期を算定。併せて既存の道路に接するアクセス道路やターミナルなど空港施設について検討するとともに、飛行方式や経路、予想就航率なども想定する。
中長期的に課題を整理する必要がある水上飛行艇案については、着水帯配置に関して二つのケースの事業費と工期を算定するとともに、揚陸施設やターミナルなどの空港施設、ターミナルと既存の道路を結ぶアクセス道路などを検討する。
年度内に成果を得て協議会などでの事業化に向けた議論に反映する。
提供:建通新聞社