「週休2日導入へ設計労務単価の引き上げを」−。九州建設業協会(会長・松尾哲吾佐賀建協会長)の定例懇談会が24日、熊本市のホテル日航熊本で行われた。働き方改革推進に向けた単価の見直しや施工時期の平準化、書類の簡素化推進を発注機関に提言。夏場の酷暑下で作業効率が低下している現場の実態を踏まえ、積算基準への反映や適正工期の設定も要望した。
今年で96回目となった定例懇。九建協から松尾会長をはじめ、鹿建協の藤田護会長(藤田建設興業)、山口克典副会長(ヤマグチ)など各県協会の幹部、発注機関からは国土交通省大臣官房の北村知久建設流通政策審議官、九州地方整備局の伊勢田敏局長のほか、各県の関係者らが出席した。
週休2日の課題に関する協議では、業界側が「働き方改革の要と位置付けられているが、現場の対応はまだまだ」と触れ、必要な施策を提言。「その実現は企業の健全な経営が確保されてこそ」とし、施工時期の平準化や書類の簡素化推進に加え、設計労務単価の引き上げや実態に即した諸経費の計上を求めた。
■7〜9月に工期延長対応
夏場の作業効率低下を受けた要望では、藤田会長=写真=が「就業者の高齢化が進む中、今夏は災害≠ニ称されるほど記録的猛暑が続き、30〜60分ごとに休憩を取らざるを得ない環境にある」と指摘。17年度から始まった現場環境改善費の経費率見直しに続き、「適正工期の設定や積算基準への反映をお願いしたい」と言及した。
夏季の取り組みに関しては、各県の動向も報告。本県土木部が「夏季工事に限定した工期設定や県独自の積算基準変更は行っていない」としたのに対し、熊本県は「工期延長は7〜9月の3カ月間、1時間ごとに15分の休憩≠想定し、受注者からの要望に応じて対応している(今夏は26件)」と説明した。
会では、公共事業予算の増額確保や働き方改革実現に向けた対策など3本の柱を盛り込んだ決議事項を採択。松尾会長は「平準化や適正工期の対応は、国や県だけでなく地方自治体まで歩調を合わせて取り組んでもらうことが大事。健全かつ安定した経営で、担い手の確保・育成につなげたい」と話した。
来賓で訪れた全建の近藤晴貞会長は、「働き方改革を進めるには、事業量の確保と中期的な見通しも必要。連携と対話を大切に、一体となった施策を実現したい」と今後に期待を込めた。
次年度の定例懇は、鹿児島で開かれる。
◆決議事項◆
▽国土強靭化基本計画に基づく公共事業予算の持続的な増額確保と九州・沖縄地方への重点配分
▽改正品確法の基本理念である適正利潤の確保、低入札調査基準価格の引き上げなど、追加的支援措置の策定
▽建設業の働き方改革実現に向けた実効性のある対策の確立、労務費のさらなる引き上げ