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建設新聞社
2018/10/25

【東北・宮城】優先交渉権者は日建設計/次世代放射光基本建屋の設計プロポ

 光科学イノベーションセンター(高田昌樹理事長・以下光科学C)は、公募型プロポーザル方式で選定していた次世代放射光施設の基本建屋に係る設計業務について、23日に審査委員会を開き、日建設計を優先交渉権者に決めた。今後は契約手続きを進める。実施設計以降は施工者が参画するECI方式の採用を予定している。
 次世代放射光施設は、極めて明るい光により物質の構造を詳細に解析する研究施設。国と地域・産業界が連携して整備し、国としての主体は量子科学技術研究開発機構(量研)が担当。地域および産業界からは公募で光科学C(宮城県・仙台市・東北大学・東北経済連合会との連名)に決定し、9月に量研と光科学Cが整備運用に係る連携協定を結んだ。
 計画によると総事業費は約360億円で、国が最大約200億円、光科学C側が最大約170億円を負担する。加速器などは国が約170億円で整備、ビームラインは国と光科学Cが約60億円で建設。光科学Cはこのほか基本建屋を約83億円、研究準備交流棟を約25億円、造成を約22億円で整備する。
 建設場所は、仙台市青葉区荒巻の東北大学青葉山新キャンパス内の敷地約5万5000平方b。仙台市地下鉄東西線青葉山駅から数百b〜1`bほど南西側に位置し、施設設置面積はおよそ2万平方b。
 設計対象は、線形加速器などを置くライナック棟と蓄積リング棟などで構成する基本建屋の建築および電気と機械設備のほか、地盤改良と外構まで。基本設計と実施設計の履行期限は2019年度末で、概算業務費は3億4000万円。ECI方式による施工者の選定支援も含み、同方式による基本建屋の施工者選定作業は来年度早期に行う見通し。
 造成費に関しては、費用負担する宮城県が9月議会に補正予算を措置しており、設計の進捗を待って早ければ本年度内に光科学Cが発注する。敷地北側が谷地形になっているため土工が必要なほか、施設の特性上、地盤改良も相応のウエートを占める見込み。基本建屋建設費は民間企業の加入金や、仙台市による約23億円の支出などで賄う予定だ。
 このほか、今回業務に含まれていない研究準備交流棟は4〜5階建て、延べ5000〜6000平方bを想定しており、光科学Cが別途設計や工事を発注する。
 全体工期は造成に1年、建築に4年の計5年を見込み、基本建屋は3年度目まで、ビームラインと交流棟は5年度目までの完了を目指し、順調にいけば23年度、可能なら22年度にも運転を開始したい意向だ。

 提供:建設新聞社