横浜市水道局は宅地開発などで民間事業者が敷設した水道管「道路内私有管」を譲り受ける条件(受贈条件)を見直す。指定管種を耐震管の「ダクタイル鋳鉄管」の1種類に限定し、災害時の安定給水と耐用年数の延長による更新費削減を目指す。2018〜19年度を周知期間に定め、指定給水装置工事事業者の技術修得を支援するなどして、20年度着工分から新条件を適用する。
道路内私有管は民間事業者が宅地開発などに伴う給水装置工事で敷設する口径50_以下の給水管。市水道局がその大半を譲り受けて管理し、耐用年数経過後の更新も行う。
現在の指定管種は非耐震管の「硬質塩化ビニルライニング鋼管」と「硬質ポリ塩化ビニル管」、耐震管の「ダクタイル鋳鉄管」の3種類。受贈1件当たり平均27bの延長から試算した敷設コストは非耐震管が約156万円、耐震管が約227万円で、耐震管の方が45%(71万円)ほど割高だ。このため年間約19`の受贈のうち非耐震管が約16`と80%以上を占めている。
ただ、非耐震管の2種類は耐用年数が40年で、敷設から40年後の市水道局による更新には年間約21億円が必要。一方、耐震管は耐用年数が倍の80年と長く、震災時の安定給水の確保に加え、更新費の削減も可能になるため、20年度から受贈の指定管種をダクタイル鋳鉄管のみにすることになった。
非耐震管の在庫を多く抱えていたり、ダクタイル鋳鉄管の施工に不慣れだったりする工事店が存在するため、18〜19年度を周知期間に設定。工事店に在庫の入れ替えなどを促すとともに、指定給水装置工事事業者約2200者に対する無料の敷設・接合講習会を本格化させてダクタイル鋳鉄管の施工技術を習得してもらう。
市内の水道管約9200`のうち耐震化済みはおよそ2300`(約25%)。現在の更新ペースは年間約110`で、全て耐震化するには60年以上かかる上に、昭和40年代に約2400`敷設した水道管の更新時期が2040〜50年代に集中する。
このため市水道局は18年度から撤去管を調べて土壌条件に応じた老朽度を見極めながら、更新時期をさらに前倒ししたり、先送りしたりする取り組みをスタートさせた。
また、大阪北部地震では昭和30年代後半〜40年代に敷設したダクタイル鋳鉄管の水道管本体に破損が発生。当時の規格は現在のものに比べ耐震性能が劣ることが分かった。市内の同時期の水道管も主に古い規格のダクタイル鋳鉄管を使っていることを踏まえ、優先順位を見直すなどして今後の更新計画に反映させたい考え。
提供:建通新聞社