北海道建設新聞社
2018/10/18
【北海道】フル回転で暫定復旧作業 胆振東部地震、札幌市清田区里塚地区
北海道胆振東部地震で大きく地盤沈下した札幌市清田区里塚地区で、降雪に備え暫定的な道路復旧が進んでいる。10月末の完了を目指し、清田区担当の道路維持共同体や地域の建設業者がフル回転で作業に当たるが、区内に発生した大小350カ所の道路被害も並行して対応する必要があり、人員や資機材繰りは難しさを増している。
被害の大きい里塚1条1丁目では建設コンサルによる、原因究明や対策検討に向けた地形や地質の現地作業が完了した。
清田区土木センターの要請で9月末から区を担当する道路維持2共同体と清田区災害防止協力会が暫定復旧を進めている。
本格復旧の対策は検討中で、過去の事例を見れば地下水位の低下など液状化対策、造成地の滑動防止など面的対応が想定されるが、確定に時間がかかる。
このため、暫定復旧で降雨や降雪による被害拡大を抑え、住民の出入りや、除雪車両が入れる通路の確保を図る。本復旧の工事や全壊住宅の解体に使う重機の重みで地盤が崩れるのを防ぐ狙いもある。
現地では沈下・陥没した道路の舗装を剥がし、砕石で埋め戻し、仮舗装を施すほか、降雨や降雪の排水確保のため下水道の仮復旧も進む。
復旧路面と沈下した宅地に大きな段差が生じる場所が多く、清田区土木センターの木村顕一郎維持管理課長は「住民の了承があれば、すり付け部をならし、出入りをしやすくしたい」と配慮を見せていた。
住民は雪による被害拡大や除雪対応に不安を強めていて、市は10月末をめどに「暫定復旧を終わらせたい」(伊藤禎則建設局維持担当部長)と作業を急ぐ。
一方、区内では美しが丘や清田地区など、里塚以外にも、多くのひび割れや沈下被害が生じた。除雪期を控え、こちらの復旧も急務で、11月中の完了に向けた作業が進む。
ただ、災害優先で戦力を投入してきた建設業者側は、手持ち工事の追い込み期を迎えるなど、人材や資材繰りは難しさを増している。
市の要請で他区の維持業者、災防協が応援に加わっているが、降雪前の完了には、さらなる協力も必要となりそうだ。