東京都水道局は、将来的な人口と水道需要の減少を見据えた施設整備として、新たに更新期間(耐用年数)を90年に設定して浄水場の更新を進める。管路については、耐震継手化の重点的な取り組みが完了する2029年度以降、配水小管の耐用年数を延ばして年間の事業量を延長約280`に減らす一方、配水本管の更新を同じく年間延長約22`に増やす考え。10月17日に開いた水道事業運営戦略検討会議に長期施設整備の見通しとして提示した。
浄水場は現在、主構成であるコンクリート構造物の法定耐用年数60年を目安に設定し、更新計画を策定している。ただ、長い期間と多額の経費が必要になることから、アセットマネジメントによる点検データなどを踏まえ、浄水場の耐用年数を設定した更新計画の策定が必要と判断。学識経験者による評価や予防保全型管理により、コンクリート構造物は100年以上の供用が可能との判断の下、現行計画の更新期間60年と90年でシミュレーションした。
その結果、60年更新(次期更新に伴う費用を含めた試算)では90年間の総事業費が約2兆2900億円だったのに対し、90年更新は約1兆7500億円となり、年間平均事業費を約60億円抑制できると結論付けた。これを踏まえ「浄水場の更新や多摩水道の再構築を90年で平準化して整備する」との方針を打ち出した。
また、老朽化した管路の更新については、既に強度の高いダクタイル鋳鉄管への更新をほぼ完了している。現行の管路更新は、法定耐用年数40年を目安に実施しているが、こちらも劣化予測や学識経験者による評価を基に、ダクタイル鋳鉄管の供用年数を配水小管で50〜80年、配水本管で60〜90年(外側にさびにくいポリエチレンスリーブを被覆した場合は配水小管で80年、配水本管で90年)に設定。重要施設への供給ルートの耐震継手化を2022年度、断水率が高い地域での耐震継手化を28年度に完了させた後、新たな供用年数に基づいて管路更新を進める。
これにより、配水小管は、現在の年間事業量(延長約350`、事業費約650億円)を「延長約280`、事業費約520億円」に抑制。一方、配水本管については、ネットワークの骨格として重点的に整備する必要があるとの判断から、現在の年間事業量(延長約16`、事業費約180億円)を「延長約22`、事業費約250億円」に増やす。
提供:建通新聞社