東京都財務局は、参加者の少ない入札環境の改善を目的に8月31日に仕様を変更した、工事の辞退届の集計結果(10月2日現在)をまとめた。約1カ月の間に辞退届が提出(入力)された案件が865件あり、その理由は「配置予定技術者の配置が困難」が68・6%を占め最も多くなっている。都では引き続き辞退理由のデータを蓄積・分析し、その結果を基に入札参加者を増やすための対策について検討していく考えだ。10月15日に開いた入札監視員会制度部会に経過報告した。
工事の辞退届の仕様変更は、1者入札など参加者が少なくなる入札環境を改善することが狙い。これまで任意で記載を求めていた辞退の理由を、記載(選択)がない場合、辞退届を提出できないようにした。「配置予定技術者の配置が困難になった」「見積金額が当初見込みよりも過大になった」「発注図書に不明確な部分があった」「技術的に履行が困難な案件」を選択肢(複数選択可)として設定するとともに、「その他」として理由を任意入力するよう求めている。
辞退届のあった865件のうち、その理由として最も多く選択されたのが「配置予定技術者の配置が困難」で、全体の68・6%を占めた。「見積金額が当初より過大」が10・3%、「発注図書に不明確な部分があった」が1・0%、「技術的に履行が困難」が7・0%だった。
また、「その他」では、「施工体制が組めない(作業員が配置できない)」が37・2%、「実行予算が超過」が13・8%、「自社都合」が11・2%などとなった。
こうした状況を踏まえ、制度部会では、委員から「技術者を配置できないことが最大の理由であれば、さらなる平準化など解消策を検討すべき」「時期(季節)によって辞退理由が変わるのか。変わらないのであれば根本的な対策が不可欠。データの蓄積・分析をさらに進めるべき」などの意見が出た。
都では引き続きデータの蓄積と分析を進めながら、さらに調査が必要な点や事業者にヒアリングを行うべき案件、調査事項などについて検討していく。
提供:建通新聞社