トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設経済新聞社
2018/10/16

【京都】今里の済生会京都府病院の土地 移転後に売却も視野に検討へ

 長岡京市の中小路健吾市長はこのほど、同市今里の済生会京都府病院の土地について、病院の移転後に売却も含め検討する方針を明らかにした。
 済生会京都府病院は、長岡京市の誘致で昭和58年に京都市北区から現在地に移転した。病院の土地は長岡京市が移転時に取得し、無償貸与している。
 社会福祉法人恩賜財団済生会京都府病院は、現病院の老朽化や狭隘化のため、同市下海印寺の下海印寺下内田土地区画整理事業地区内に移転する予定で、長岡京市下海印寺下内田土地区画整理組合から土地を購入し建設するため、多額の費用が必要となる見込み。また規模も1万u程度増え、延2万6000uから2万8000u程度となる見通しで、容積率や高さ規制を超過する可能性がある。
 こうした状況に加え、地域医療ビジョン懇談会から「ビジョンに掲げる将来の地域医療のあるべき姿を具現化するためにも、中核病院である済生会京都府病院を市として積極的に支援すべき」との提言も踏まえ、中小路市長は「これまで実施してきた土地の無償貸与や高額医療機器等に対する補助、不採算医療等の運営補助などの支援内容を踏まえつつ、新病院の整備等に対する具体的な支援の内容や方法を今年度中には議会に示したい。済生会京都府病院と協議を行いたい」とし、「移転新築に対する支援に必要な財源については、まずは済生会京都府病院において無駄を削減し、必要な機能を集約してもらうことが必要。その上で国・京都府の補助制度を最大限活用したい。現病院の敷地は昭和58年に長岡京市へ誘致するため取得した土地であり、市民の財政負担の軽減を図る観点からも、新病院の支援に向けた財源になりうるものと考えている。移転後には売却も含め総合的に検討したい」と方針を示した。
 新病院の基本計画骨子案の内容からも容積率の緩和が必要となる可能性があることから、長岡京市は、新病院の予定地について特定の誘導施設の建設に限り容積率を緩和することができる特定用途誘導地区とする都市計画決定を行う。関連する都市計画は12月の都市計画決定を目指す。
 また新病院の予定地は高さ規制が最高15mである第1種高度地区内にあるため、新病院の詳細設計が決定した段階で、公益上必要で周辺への影響がないと判断される場合に適用される高度地区の特例許可により、高さ規制についても緩和する。
      ◇
 基本計画骨子案によると、新病院は現在の診療科を維持し23診療科とする。病床は急性期250〜280床(高度急性期病床、周産期病床含む)、回復期30〜50床(地域包括ケア病床等)の合計280〜330床で検討。耐震構造とし、規模はS造7階建(7階塔屋)、延2万6000u〜2万8000uで計画している(その他で訪問看護ステーション等を同一敷地内に整備。面積は上記に含む)。設計は公募型プロポーザルで内藤建築事務所(京都市左京区)を選定し、29年10月に契約した。
 基本計画は当初7月末頃に策定する予定だったが、病院機能の調整等に時間を要したため、11月をメドにとりまとめる予定。その後、済生会本部との協議を経て、来春頃に済生会本部理事会で承認されれば、実施設計に移行する予定。その後、平成31年度中の着工、平成34年度の移転開院を目指す。
 組合が計画の土地区画整理事業は、長岡京市下海印寺伊賀寺、岸ノ下及び下内田の各一部の面積約1・8fが対象。阪急京都線西山天王山駅から北西へ約0・4qに位置し、地区の南西側は京都縦貫自動車道に接し、地区の南東側は府道大山崎大枝線に接する。区画整理では、地区東側の市道の拡幅による区画道路1号線、面積566uの街区公園(1号公園)を地区北西側に配置するなどの整備を行う計画。事業完了予定は34年3月31日。