2020年4月の供用を目指している八代港クルーズ拠点の基本計画が明らかとなった。ロイヤルカリビアン社と国土交通省、熊本県が124億円かけて整備。国交省が担当する専用岸壁については昨年11月から一部着工しており、ロイヤルカリビアン社と県は18・19年度の2カ年かけて事業に着手する。
コンセプトは▽世界の客船に開かれたウォーターフロントの形成▽地域に開かれた新たなにぎわい拠点の創出▽熊本が誇れる美しい景観の演出。
国交省は、世界最大22万d級のオアシスオブザシーズが寄港できる延長410b、水深10bのクルーズ船専用岸壁と、泊地(約28f、水深約10b)を整備する。事業費は約82億円。陸上部の地盤改良工事は完了し、海上部の地盤改良を施工中。その後、基礎鋼管杭を打設し、19年7月頃から本体工(ジャケット)を据え付け、20年3月に岸壁を完成させる。
県は約4・4fの駐車エリアを整備する。安全性・利便性・デザイン性を備えた円形とし、大型バス150台、タクシー・乗用車120台の駐車場、屋根付きバス降場、タクシー乗降場をつくる。ほか、クルーズ船とターミナルを繋ぐ屋根付き通路(一部移動式)、防塵フェンス、ソーラスフェンス、高速旅客船用浮桟橋(検討中)などを計画している。駐車場設計はウラタ・シビル・コンサルタント、付帯施設設計は中央コンサルタンツが担当。建物等調査も進めている。事業費は約12億円を見込んでいる。
ロイヤルカリビアン社は、旅客ターミナル(延床面積約3500平方b)と、おもてなしゾーン約2・7fを整備する。ターミナルはCIQ(税関、出入国管理、検疫)等を機能的に配置。おもてなしゾーンには、くまモンパークや日本庭園、多目的芝生広場、フードコート等を整備する。供用後に建設予定の集客(商業)施設については、今のところ、規模・完成時期とも未定。同社は総投資額を30億円と見込んでいる。
5日に県庁であった会見には、ロイヤルカリビアン社のジョン・ターセック副社長、九州地方整備局の村岡猛副局長、蒲島郁夫県知事が出席した。
蒲島知事は「県内外からの観光客や県民にも開かれた空間で、写真を撮りたくなるような美しい景観を演出する舞台となる」、村岡副局長は「岸壁の一部は熊本県内初の耐震強化岸壁で、災害時は支援物資の拠点となる」と挨拶した。
ターセック副社長は、熊本でしか味わえないくまモンを最大限に使ったテーマパークを造りたいと説明し、コンセプト段階としながら、150体のくまモン像オーケストラなどの設置構想を挙げた。地元企業との連携については「CIQターミナルを含めた建築を地元の建設会社にも参加して頂きたい。商業施設への出店は八代をはじめ県内外の方々に参加してほしい」と話した。
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